ソケットの口径サイズの知識と、組み合わせの注意点

ラチェットハンドルが1本あれば、いろいろな口径サイズのソケットを付けられるが、差込角が合っていればどの口径サイズでも等しく問題なく使える、というわけではない。組み合わせには注意点がある。

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  「ラチェットハンドルの強度に関するよくある誤解と、使い方の注意点」の続き。

  ●レポーター：イルミちゃん

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  さて。「差込角」と「ギア数」は理解できたし、そろそろラチェットハンドルを買いに行くかな。

  ●DIYラボ別館 ユキマちゃん

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  ソケットはどうするのよ？

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  そこまではまだ考えてなかったけど。

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  ハンドルだけ買ってもソケットレンチにはならないのよ？

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  し、知ってるわよ！　そんなことは最初に学んだじゃないの!!

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  9.5sq.のラチェットハンドルと、6.3sq.のソケットを買ってきそうで怖いんだけど？

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  だから、差込角については理解できてるってば!!

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  もうひとつ言っておくと、ラチェットハンドルとソケットの口径サイズの組み合わせには注意点もあります。

  ●アドバイザー：KTC トリー研究員


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  差込角以外の注意点とは？

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  差込角が一致していれば「問題なく使える」というのは、やや語弊がありまして。

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  ……え？

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  どういうこと？？？

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  まずソケットの口径サイズですが、KTCのラインナップでいうと、最小サイズの3.2ミリから最大サイズの100ミリまであります。

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  ソケットのサイズって100ミリまであるのか……すごいね。

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  しかし、1本のハンドルで全てのソケットサイズに適合するわけではありません。適合するソケットの口径サイズの幅は、差込角の種類によって変わります。

差込角	ソケットの口径サイズ
6.3sq.（1/4インチ）	3.2mm～14mm
9.5sq.（3/8インチ）	5.5mm～24mm
12.7sq.（1/2インチ）	8mm～36mm
19.0sq.（3/4インチ）	17mm～85mm
25.4sq.（1インチ）	27mm～100mm

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  この点は、差込角のときにも解説しましたので、おさらいですね。

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  差込角（ドライブ角）が大きいラチェットハンドルほど、大きい口径サイズのソケットに対応しています。

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  差込角のサイズごとに、守備範囲が決まっているってことでしょ。

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  だからこそ、差込角9.5sq.（3/8インチ）が、自動車向けの王道チョイスになります。

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  ちなみに「車で登場するねじサイズ」は、この連載の初期に勉強しました。



✔「車で使われている〈ねじの種類〉と〈サイズの謎〉」参照。

>>>リンク先で詳しく読む。

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  はち・じゅう・じゅうに・じゅうよん・じゅうなな・じゅうきゅう……ってやつね。

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  ほぉ、覚えていたのね。

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  車のねじサイズのラインナップは変速ルールでしたけど、ソケットの口径サイズは1ミリ刻みで用意されています。


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  へ～そうなんですね！

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  アタマが7ミリ・9ミリ・11ミリといったねじはかなり特殊ですが、どのサイズにも大なり小なり需要があるため、工具メーカーとしては1ミリ刻みで揃えています。

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  ふむ。

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  ただ、基本的には規格に沿った定番的なねじサイズをメインに考えているので、工具セットに入っているソケットの口径サイズは、それに沿ったものになっています。


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  工具セットに1ミリ刻みでソケットが入っているわけではない。

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  はい。1ミリ刻みで用意されているのは、単品のソケットでの話です。

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  では単品買いも視野に入れれば、9.5sq.のラチェットハンドルで5.5ミリ～24ミリまでのねじに、1ミリ刻みで対応できるのね。

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  そうなりますが、そこでの注意点があります。

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  確かに、9.5sq.（3/8インチ）のラチェットハンドルは、5.5ミリ～24ミリまでのソケットサイズが装着できます。


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  しかし「装着できる」とはいっても「推奨はできない」のが、両端に近いサイズです。

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  付けられるのに推奨できないってどういうことよ？

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  このあたりが、1種類のハンドルに、いろいろなサイズのソケットを組み合わせるソケットレンチの難しいところですが……

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  フムフム。

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  9.5sq.のラチェットハンドルに対して、最大サイズに近い24ミリや22ミリの口径サイズのソケットは、実用面では無理があるのです。


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  この組み合わせが、なぜ無理があるのかというと？

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  大きいサイズのねじほど、大きなトルク（力）で締まっています。

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  ふむ。

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  当然、ゆるめるときには大きなトルク（力）が必要です。

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  そりゃそうだ。

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  工具が発生させるトルク（力）は、「力×長さ」で決まります。これはテコの原理です。

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  「私のチカラ」×「工具の長さ」＝「発生トルク」になるのね。

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  つまり「工具の長さ」が足りないときは、より大きな力をかけなければなりません。

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  そうなってしまう。

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  標準的な長さの9.5sq.ラチェットハンドルに、24ミリや22ミリのソケットの組み合わせだと、いよいよこの点で無理が出てきて……そもそもゆるめること自体が難しいと思います。

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  24ミリアタマのねじをゆるめるには、ハンドルの長さが足りないんだ……。

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  そういうことか。

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  いっぽうで装着できる範囲の中で最も小さいサイズのソケットだと、逆にオーバートルク（締め付け過ぎ）になる可能性が高くなります。


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  この組み合わせだと、適切な締め付けトルクに対して、ハンドルが長すぎるんだ。

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  そうなんです。組み合わせることはできますが、工具としてのバランスが悪い。

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  では、9.5sqのラチェットハンドルで、現実的に推奨できるソケットサイズの範囲って何ミリから何ミリなの？

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  けっきょく、一般的に工具セットにも入っているソケットのサイズが目安になります。8ミリ～17ミリ、いっても19ミリくらいまで。

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  これを実質的な適合範囲と考えたほうがいいんですね～。

推奨範囲（差込角9.5sq.の場合）


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  ではこの推奨範囲より大きい＆小さいネジの場合はどうすればいいの？

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  ソケットのサイズに合わせて、ハンドルも変えていくべき、という話になってきます。