めがねレンチの形状（角度）にも種類がある

めがねレンチの形状（柄の角度）は種類が多く、どれを選べばいいのか迷いがち。例えば15度めがねレンチと、45度めがねレンチはどう違うのか。なおKTCのめがねレンチの標準は、45度×6度だが、その理由は何なのか。

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  「オフセットレンチとは？」の続きです。

  ●レポーター：イルミちゃん

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  前回の話で、オフセットの意味は分かった。

  ●DIYラボ別館 ユキマちゃん

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  オフセットしている理由を理解すると、めがねレンチの柄の形状（角度）には多くの種類があることも理解できるようになります。

  ●アドバイザー：KTC トリー研究員

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  コンビネーションレンチのめがね側は、15度でしたが……

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  「めがねレンチは、何度」とか、決まってないんだ？

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  めがねレンチの場合は、その進化の歴史の中で、いろいろな柄の角度のバリエーションが生み出されました。

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  フムフム。

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  まず、シンプルな15度のめがねレンチもあります。



KTCの15°ロングめがねレンチ

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  一見すると普通のめがねレンチですが、横から見ると、15度の角度が付いています。


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  これがもし5度や10度だとすると、手が入るスペースができません。だから15度なんです。

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  15度の角度には、理由があるんですね。

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  しかし、この15度めがねレンチは、KTCでもそんなに多くのサイズラインナップはありません。

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  なんで？

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  現代においては、15度めがねレンチは標準的な存在ではないからです。

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  マイナーな存在なんだ。

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  では、標準的なめがねレンチの角度は何度なのでしょうか？

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  長い歴史を経て、現在ではこれが標準的なカタチになりました。



KTCの45°ロングめがねレンチ

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  45度めがねレンチは、45度の角度で立ち上がって、また水平に戻る、という形状です。


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  これが一番、オーソドックスなめがねレンチの形状ですね。

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  最初の15度めがねレンチと比べて、なにがいいの？

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  15度めがねレンチだと、口径部に対して柄の角度がナナメですよね。


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  柄の部分を回すときに、（柄を）ねじに対して平行に回そうとすると、かえって口径部にこじるような力をかけて回すことになってしまうんですよ。

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  あー。柄を平行にしたら、かえって口径部がナナメになってしまうんだ。

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  そうなんです。片側が浮いたような状態になり、接触面積が減ってしまいます。

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  いわゆる、ナナメがけ状態ですね。

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  ということはつまり、柄の15度の角度を保ったまま回さなくては。

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  その通りなんですが、15度も角度が付いていると、それを意識しながら回すのは、意外と難しいものです。

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  確かに柄をナナメにしながら回すって、やりにくい。

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  知らず知らずのうちに、柄の角度が保てなくなって、押し下げて平行に近づいてしまうことが多いと思います。

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  常に15度を意識しておかないと、いけないんだ。

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  いっぽう、45度めがねレンチは、45度で急激に立ち上がったあと、柄は平行に戻ります。つまり口径部と柄は平行なんです。


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  これなら、柄の部分を素直に平行に回せばいい！

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  そういうことですね。
  扱いやすいと思います。

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  ナルホド。考えたわね。
  めがねレンチは、45度オフセットで決まり！

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  しかし、KTCのめがねレンチは、ここからさらに独自の進化を遂げています。

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  ……え？
  まだ進化するの？

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  45度めがねレンチのメリットはさきほど言ったとおりですが、デメリットもあります。

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  ……と言いますと？

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  45度めがねレンチは、口径部付近に広めのスペース（↓）が必要なんです。


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  45度で立ち上がる部分の高さがあるせいで、狭い場所にあるねじを回すときに、接触することがあるんですよ。

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  あ～。
  そういうことか。

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  広い場所なら問題ないんですけど、車の作業などだと、干渉はありがちな問題です。

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  オフセットの目的には、障害物を避ける意味合いもある、って言ってたもんね。

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  そうなんです。そういう意味では、最初に紹介した15度めがねレンチのほうがコンパクトで干渉しにくい。


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  あっちを立てれば、こっちが立たずか。

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  で、KTCの標準めがねレンチはけっきょく何度にしたの？

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  45度と6度のミックスなんです。KTCの標準的なめがねレンチは、立ち上がりの角度を2段階設けているんですよ。



KTCの45°×6°ロングめがねレンチ

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  2段階って……どういうこと？？？

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  最初に45度で上がるんですけど、そのあと平行ではなく、6度の角度が付いているんです。


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  これは、どういう意味があるんだ？

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  普通の45度めがねレンチと比べてみましょう。


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  口径部付近がコンパクトなんです。これがKTCの45度×6度めがねレンチのメリットです。

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  おお。
  なるほど！

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  「手が入るスペースの確保をする」という意味ではどちらもほぼ同じです。



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  う～ん。
  よく考えられている。

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  いっぽう口径部の柄の角度は、なるべく水平に近いほうが回しやすい。15度めがねレンチに比べて、6度ぐらいの傾斜だったら、口径部と柄の角度を違いをそれほど気にしなくて済む。

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  確かに6度ぐらいなら、ほぼ水平に近いイメージ。

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  15度めがねレンチと、45度めがねレンチの、イイトコ取りをしたのが45度×6度めがねレンチってことか。

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  そういうことですね。だからKTC的には、この45度×6度が標準モデルなんです。

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  めがねレンチの進化の、最終形態ってところね。

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  ……そういえば、KTCのめがねレンチの形状にはもう一種類ありますね。

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  まだあるのかッ!?

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  お次は、何度かしら？

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  ストレートめがねレンチなので、あえて角度を言うなら0度ですね。



KTCのストレートロングめがねレンチ

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  ……え？

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  柄に角度がついてないじゃない？

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  柄に角度のついていない、めがねレンチもありますので。

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  さんざん形状と角度の意義を勉強したところで、今さらなぜ、このような太古モデルが？

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  そうはいっても、ストレートが使える状況なのであれば、ストレートめがねレンチを使うのがベストですよ。

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  KTC的には45度×6度めがねレンチがベストだったんじゃないのッ？？？

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  もちろん、大抵の状況ではそう言えます。しかし、どのタイプが理想的かは、作業環境や使い手の好みによっても変わってきます。

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  そういえば、45度×6度めがねレンチまで進化させておきながら、KTCの15度めがねレンチや45度めがねレンチも、いまだに存在しているし。

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  ……分かりかけていた「めがねレンチ選び」が、また分からなくなってきたよ。

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  それでは、形状の違いをふまえて、最適なめがねレンチの選び方を解説していきましょう。