プラスドライバーのサイズの選び方。買うべきは何番か？

プラスドライバーのサイズにも種類がある。しかし、全部揃える必要があるのだろうか？ 実は車やバイクで使われるプラスねじのサイズには、ある程度法則がある。必要なのは何番か。サイズが合わないドライバーで回すと何が問題なのか。気にし出すと、意外と気になる。

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  工具のスペシャリスト・KTCトリー研究員がお届けする、「ねじ講習」の時間がやってまいりました。

  ●DIYラボ別館 ユキマちゃん

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  ……正しくは、「工具・再入門」なんだけどね。

  ※連載の記事一覧（→）「目からウロコの工具〈再〉入門 ╱もくじ」

  ●レポーター：イルミちゃん

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  今日からは、ドライバー編に入りたいと思います。

  ●アドバイザー：KTC トリー研究員

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  ……ええッ!?

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  どうかしましたか？

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  いや、てっきり、まだ「ねじ講習」が続くのかと。

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  確かにねじについて説明したいことは、まだまだ・いろいろありますね！

  ……クルマやバイクは、首下径と二面幅の組み合わせがJIS規格にない、特殊なねじも使われているとか、「おねじ」と「めねじ」（ボルトとナットの関係）の話とか、「二面幅」「首下径」に加えて「首下長さ」も重要だ、とか……ブツブツ。

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  だいぶ消化不良のようですが……。

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  ただ、このペースでは工具に入れる日があまりに遠くなりそうなので、今回からは、いったん工具編に移行します。

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  （KTC社内でも、『なかなか工具の話が始まらない、トリー研究員の工具再入門』とか言われているみたいだから、気にしてるのよきっと）

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  （しっ。余計なこと言わない！）

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  とにかくこれで、工具の実技がはじまるわ〜。

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  いや。
  実技なんてまだ早い！

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  ええ〜？？？

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  その前に、まずは、プラスドライバーのサイズの種類と、選び方について解説していきます。

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  ドライバーにサイズなんてあるのか〜。

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  あるだろ。

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  車やバイクを触る人は、1番、2番、3番のプラスドライバーが必要ですね。NO.1、NO.2、NO.3とも言います。数字が大きくなるほど、サイズも大きくなります。




予備解説

この連載で登場するドライバーは、KTCのスタンダードモデルである「樹脂柄ドライバ クロス貫通タイプ」。

車やバイクいじり目的で、どれを買っていいか分からない人には、コレが一番オススメ。

※オススメの理由は、連載の中で明らかになっていきます。

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  ええッ!! なんでプラスドライバーだけで3本もいるの？ プラスとマイナスが、1本ずつあれば十分でしょうッ!!

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  プラスドライバーは、十字穴が切ってあるねじ（プラスねじ）に対して使いますが……


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  車やバイクで登場するねじの十字穴のサイズが、1番、2番、3番なので、プラスドライバーも1番、2番、3番が欲しいところなのです。

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  でも、プラスドライバーを3種類も使い分けている人って少ないような……？

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  それは車やバイクに限って言えば、圧倒的に登場頻度が高いのが2番のプラスねじだからです。ざっくり7〜8割方は2番のねじですので。

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  そんなに2番が多いんだ。

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  だったら、2番のプラスドライバーだけ買えばいいのでは？

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  実際のところ、2番しか持っていない人も多いでしょうね。確かに、もしも「1本だけ買う」ということであれば2番をチョイスするのが正解なのですが……

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  フム。

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  しかし残念ながら、それでは不十分です。2番より小さい1番も登場するし、頻度が低いとはいえ、大きい3番のねじも使われています。


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  そして3番のねじは登場頻度こそ低いんですが、サイズが大きいぶんだけ、強い力（トルク）が必要になります。

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  フムフム。

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  現実には「2番のプラスドライバーしか持っていない」という人も多いので、2番のドライバーで3番のねじを回すケースは多いと思われますが……

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  なんだ、できるんじゃない。

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  しかし3番のねじを、2番のドライバーでゆるめようとすると、ガタつきが生まれます。

正しい3番のドライバーだとこうなるが…



ピタッ

2番のドライバーだと、ピッタリハマっていない


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  しかも、大きい3番のねじは、1番や2番より強い力をかけますから、特に「ゆるめる」場面ではねじをなめる確率が高い。

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  そうやって、なめるんですね〜。

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  2番のねじを1番のドライバーでゆるめる行為よりも、3番のねじを2番のドライバーでゆるめるほうが、ねじを傷付ける可能性がより高くなります。

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  なんか、早口言葉みたいでややこしいんですけど……。

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  ようするに、ねじのサイズが大きくなるほど、力が必要になる。すると、工具のサイズがよりシビアに問われることになります。

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  登場頻度は低くても、3番のプラスドライバーは必要なんですね。

だから工具セットの類いには、1番・2番・3番のプラスドライバーが、揃って入っているものなのです



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  仕方ない。知ってしまったからには、3サイズ買っておくか。

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  とは言ったものの……

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  ？

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  確かに、私も、3番のプラスドライバーってほとんど使ったことないんですよね。家に1本おいてありますが、前に乗ってたバイクで、一か所だけ3番があったなぁ〜ぐらいの頻度だから。

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  いらないんじゃないのソレ？


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  まあ……。スタート地点ということで言うなら、最初に1番と2番のプラスドライバーだけ買う、でもいいとは思いますけどね。

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  でも、出てきた時に困りますよね？

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  そうなんですが、整備内容によっては、3番ねじは出てこない可能性もありますので。

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  ねじのサイズの登場頻度って、ナゼそんなに差があるんだろう？

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  3番のねじを使うのは、それだけ締め付けトルク（力）がいるということ。そうなってくると、車では六角ボルトや穴付きボルトが使われるケースが多いのです。

重要な場所なら六角ボルトなどの出番となる


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  1番とか2番は、いわゆる小ねじと呼ばれる小さなねじ。そんなにトルクをかける必要がない場面では、作業効率を考えて多用されています。

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  それが、3番ねじの少ない理由なのか。

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  出てこないなら、いらない。それがねじと工具の関係よ。

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  え？

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  確かに。
  相手による話ではあります。

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  え〜!?
  なにこの展開。

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  車とバイクに限定した作業で、なおかつ予算がないという場合は、3番だけは後回しで、出てきたときに買う、でもいいとは思います。

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  KTCから出向しているトリー研究員なのに、意外な妥協案が出ました。

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  悪くない。

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  ただし、さっき言ったとおり、出てきたときには、2番のプラスドライバーで代用するのはNG。3番のねじが出てくると分かっているなら、3番のドライバーは必須になります。

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  は〜い。

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  例えるならば、3番のプラスドライバーは、「コンビニのお線香」みたいな感じですよ。

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  なにそれ？
  どういうイミ？？

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  普段はあまり使われないけれど、イザっていうときには無いと困るというイミね。

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  そして、置いてあると安心感がある……そんな存在と言えます。

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  う〜ん、奥ゆかしさがある。

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  じゃあ、1番と2番は品質重視でKTCのを買うとしても、3番は安物にしておくか。

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  う〜ん、身もフタもない。