ねじとは？ ねじとボルトの違い

「ねじ」と聞いて、思い浮かぶのはどんなものか。そして同じように「ボルト」を思い浮かべたとき、その違いがわかるだろうか。わかるとまさに目からウロコ。おおかたの想定よりも深い「ねじ」の話が、今、始まる。

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  工具再入門、まずは初心者向けに「ねじの基本」からスタートです。

  ※連載のプロローグはこちら→「目からウロコの工具〈再〉入門」

  ●レポーター：イルミちゃん

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  そもそも、ねじとは何か？ という話ですが……

  ●アドバイザー：KTC トリー研究員

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  ねじといえば、これ（↓）でしょう！

  ●DIYラボ別館 ユキマちゃん

これは……ねじ？


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  うーん。
  確かにこれは「ねじ」ですが、正確には「ボルト」ですね。

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  ん？？？

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  あのー。
  ねじとボルトの違いが分からないんですけどォ？

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  「ねじ」と言ったら、この部分のことですよ。厳密に言えば、という話ですが。


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  アタマのところは、「ねじ」ではないと言うのでしょうか？

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  正確に言うと、「ねじ」とは、棒にらせん状のミゾが切ってあって、そのミゾに噛み合わせて回転させることで「移動させる」メカニズムの総称みたいなものです。

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  ほほう。

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  じゃあ、ボルトは？

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  ボルトとは、「ねじ」が切ってある棒状のものに、その棒を回すためのヘッド（アタマ）を付けたものですね。

ねじにヘッドを付けたのが「ボルト」


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  アタマがないスタッドボルトみたいなものもありますが、とにかく、ねじの仕組みを利用して、モノとモノを留めるのがボルトです。

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  私達が普段、ザックリとねじと呼んでいるのは、正しくはボルトってことか。

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  「ねじ」という言葉は、らせん状の形状（構造）を指す場合と、ねじが切ってあるモノ（ボルト、小ねじ等）を指す場合と両方あるので、間違いではありませんが……

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  ……フムフム。

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  本来「ねじ」という表現は、機構の名称みたいなものですから、「ボルト」よりもっと幅が広いです。

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  なるほどね。

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  ……ねじの英語が、ボルトじゃなかったのか〜。

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  ねじは、英語でいうと「スクリュー」ですね。だから、ねじ＝スクリューとは言えますが、ねじ＝ボルトではありません。

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  よくわかりました。
  学校の授業を受けているような、懐かしい気分。

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  ボルトは、モノとモノを固定するためのものですが、ねじの機能は「固定する・留める」だけではないし。

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  ねじに、固定以外の目的なんてあるの？

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  もうひとつ、重要な機能があります。

例えば、パンタグラフジャッキです




KTCのパンタグラフジャッキ

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  これも機構として、「ねじ」を使っているんですよ。

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  ジャッキがねじ？？？

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  ジャッキは、回すと、ねじが回転することで、アームが伸びたり縮んだりしているのです。


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  これ、機械要素のひとつなんですけど、「ねじは回転運動を直線運動に変換することで、モノを移動させる」ことができるのです。

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  あー、なるほど。

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  確かに、締め付ける目的でもないのに、ねじを使っているわね。

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  そういえば、車高調の全長調整とか、アームの長さ調整も同じことか。

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  しかも、入力に対して、それよりも大きい力で出力して移動させる、という点もポイント。

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  フムフム。

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  ねじの性質や、テコの原理を組み合わせた結果、人力でも車を持ち上げられるのがジャッキの仕組みですね。

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  なるほど、なるほど。

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  でも、この機構をさして、誰も「ボルト」とは呼びませんよね。

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  納得♪

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  なるほど！工具ノート!!!!

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  すぐチョーシに乗る。
  なんか、ビミョウなオヤジギャグね……。

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  ひとつ賢くなったわ〜。この話、（私のライバルの）朝津カナッチは知ってるのカナ？

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  1講習受けただけで、どんだけ態度デカくなるのよ。しかも直球でオヤジギャグ言った。

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  この調子で追いつくわよ〜。トリー研究員、ねじについては分かりましたので、次は工具の実技を……

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  はい？
  なにを言ってるんですか。

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  ……え？

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  ねじとボルトの違いが分からないようだから、今日は（仕方なく）臨時講習をやったまでです。「ねじの勉強」は、ここからが本番ですから！（(=ﾟДﾟ=)キリッ）

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  どうやら、しばらく「ねじ講習」のもよう。

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  ええーッ!?
  工具の実技はいつになるのー？

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  工具の正しい使い方を知るには、まず「対象物」を知ることが大切なのです。

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  対象物。
  つまり、それは「ねじ」。

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  敵を知り、己を知れば、百戦危うからず（※）……か。

  ※孫子の兵法より。