アクリルヘッドライト加工方法(第12回)
アクリル面発光の光源は、どんなLEDがよい?
ヘッドライトインナーに埋め込んだアクリル板を光らせる、光源のLEDについて。限られた狭い場所で、LEDを仕込む位置はどう決めるか。美しくアクリル面発光させるには、どんなLEDがよいのか。LEDテープでも可能なのか……など、気になるポイントを取材した。
LEDの仕込み位置は、アクリルを埋め込んでから考える!?
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前回までの流れで、ヘッドライトのインナーにアクリルを埋め込むことはできました。
●レポーター:イルミちゃん
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次は、光源となるLEDを仕込んでいきます。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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アクリルを面発光させるのは、LEDですからね〜。
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ちなみに、ここまでライトを作ってきた過程では、光源をどう仕込むかは考えていません。
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……か、考えてなかったんですか?
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アクリルをココに埋め込みたいな〜、という点が優先。埋め込んだあとで、どう光らせるかを考えていきます。
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意外と行き当たりばったり系なのか。
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…いや、そうじゃなくて、カッコいいライトを作るためには、まずはオモテから見たデザイン優先で考えたほうがいいですよ、という話。
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あー、そういう意味ね。
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ウラ側のことを考えるのは、後でいいんです。
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……だいぶヨユウのかまえですが、ウラ側にLEDを仕込むスペースがなかったら、笑えませんよ?
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どうしても光源が仕込めない! という場所がないわけではありませんが、定番的なインナー側面の埋め込みなら、どうにかして光らせることはできるものです。
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ほー。超狭いヘッドライトインナーのウラ側に、球屋がどうやってLEDを仕込むのか!? 今回も見物です♪
まずはオモテ側のデザイン重視で組むのもコツ
LEDテープを使うか、それとも基板で作るか?
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LEDといってもいろいろとありますが、どんなのを使えばいいでしょう?
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光源のLEDは、球屋の場合は単品のLEDと基板で作ることも多いですが……、
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こんな風に細長い基板(↑)を切り出して、そこにLEDをハンダ付けしていくんです。普通のLED自作の要領で。
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これって……普通の砲弾型LEDですか?
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球屋では帽子型のLEDを使っています。同じ2本足のLEDですが、砲弾よりも広角に光を照射するので、アクリルを均一に面発光させるのに向いています。
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しかし……今どきはLEDテープが充実しているのに、わざわざ基板で作るとか、そのへんがドMですよね。
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LEDテープを使うこともあります。でも、基板で作る意味もあるってことですよ。
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と言うと?
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LEDテープの欠点は、曲がる方向にしか曲がらないこと。実際の車のアクリルヘッドライト加工で、こんな風(↓)に真っ直ぐ光源を当てられるケースは、ほぼないんです。
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微妙に角度を変えながら、光を差していく方が普通。これはLEDテープを使った例(↓)ですが、けっきょく細かく切りまくってます。
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机の上でやる普通のLED工作とは、条件がぜんぜん違うんだ。
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そうなんです。基板で作るメリットは、どんな向きにでも変えながら作れることですよね。
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なるほどね。
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今回のデザインだと、別にLEDテープを光源にしてもいけそうです。こういう場合はどっちでもいいです。
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発光具合に差が出るわけではない?
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そういう心配はないです。
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では! 抵抗計算をしなくてもいい、LEDテープで進めましょう。
こんな風にはいかない
アクリル光源に適したLEDテープとは?
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LEDテープを使うときは、すぐに切れそうな安物を使うのはやめましょう。
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改めて言うまでもない気がしますが。
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ですが、ヘッドライトの中に入れて使うのでなおさら!! なんですね。
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……そう言われてみれば。また殻割りしないと直せない。超重要事項です、みなさん。
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切れないLEDはないとはいえ、できるだけ切れにくいモノを選ぶというのは大事なことです。
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ですね。
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LEDテープ自体の信頼性があまり高くなかった頃は、球屋でもLEDテープは使わず基板1本槍でやっていました。
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本当は、今でもそっちのほうがいいんでしょうか?
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今はLEDテープにも良いモノもあるので、そういうのを選べば大丈夫ですよ。ヘタにハンダするより、切れにくいLEDテープもあります。
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基板を作るほうが、絶対的に上というわけではない?
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そうですね。ハンダ付けする過程で熱をかけ過ぎてしまうと、けっきょくLEDの寿命は縮まってしまうので。
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そっか。
……改めてやはりLEDテープでお願いします。
チップの間隔は狭めで、光量は多めのほうがよい
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アクリルを発光させる目的で使うので、LEDテープのチップの間隔は狭いほうが有利ですね。
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それはなぜ?
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より均一に、アクリルを発光させやすいからですよ。
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粒と粒が離れていると、明るいところと暗いところが出てしまったりする?
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そうですね。それと、光量もそこそこあったほうがいいので、そういう意味でも間隔は狭い(搭載数が多い)ほうが向いています。
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というわけで球屋では、3528チップLEDで搭載数多めのLEDテープを使っているもよう(↓)。
LEDテープに搭載のチップLEDの違いは、「LEDテープライトの種類と選び方」を参照。
この記事の実践アドバイザー
球屋・田中宏信サン。森田研究員に輪をかけたドM。働き者。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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