アクリルヘッドライト加工方法(第4回)
アクリル板のきれいな切り方。曲線も切れる!
アクリルヘッドライト加工のできる・できないを分ける難関。それがアクリル板のカットだ。通常はレーザー加工機を使う球屋だが、今回のヘッドライト自作加工連載のため、特別に手切りでやってもらって、切り方のコツを教わった。
レーザー加工機なしでもアクリルのカットはできる
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前回の記事で型取りできたので、今日はいよいよアクリル板をカットして切り出す段階!
●レポーター:イルミちゃん
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球屋では、レーザー加工機を使って切り出すのですが……、
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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ココがいきなり問題。普通の人は、レーザー加工機なんて持ってませんよねぇ?
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何百万円とかしますからねぇ。中古でも。
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型紙通りにアクリルを切り出して販売するサービスを、球屋が始めてのくれればいいんですけど?
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うーん。なるほど。今後はそういう展開もありかも知れませんが、今日は「超音波カッターを使ってアクリルをカットする方法」を紹介しますよ。
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え? 超音波カッターですって? それで、固いアクリル板が切れますかね?
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切れますよ。あまりに分厚いアクリル板は無理ですけど、5ミリ厚くらいまでなら切れます。
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ほほう。
それは朗報! -
8ミリ厚などになると厳しそうですね。しかし球屋のアクリル加工でも、よく使うのは5ミリ厚。なので、問題ないと思います。
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ライト加工って、もっと分厚いアクリル板を使うのかと思った。
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分厚いアクリルを使うこともありますが、今回のようにインナーを切って埋め込む場合は、あまり厚いとレンズに当たってしまったりする。5ミリ位が、一番使い勝手がいいんですよ。
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なーるほど。
プロの業者はレーザー加工機で切る
アクリル板の切り方
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それでは、超音波カッターでアクリル板を切ってもらいましょう。
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このような形の型紙(↓)に合わせて、カットするという例です。
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あえて、曲線ありのフィン形状としました。
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まずは、超音波カッターで直線を切っていきます。
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このとき、最終的に切りたい線よりも、ほんの少し外側で切っているのがポイントです。
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あのー、森田研究員。
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はい。
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超音波カッターの刃だと、5ミリ厚でも半分も刃が入っていませんね。何回も刃を入れるってことですか?
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ああ、それなら大丈夫。アクリル板は片側から刃を入れれば、折り曲げることでパキンとキレイに割れますから。
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あー!
本当だ。 -
まずは直線部分を、同様のやり方で切ってしまいます。
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余白が少ない場合、手で割るのも難しいのでペンチのような工具を使いますが……
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「不要な部分」のほうを工具で掴むようにします。工具を使うと傷が付くので。
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アールがついている部分も、曲線は無視してまずは直線的にカットしましたね。
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ハイ。
円形に切っても、うまく割れませんので。 -
ここから先は、切るという感覚ではなくて、薄く削いでいくんです。
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こんな風に少しずつスライスしながら、削りこんでいくんですよ。
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なるほど。
だから最初は大きめに切ったのか。 -
時間はかかりますが、削りながら整えられる。このやり方なら断面もキレイです。あとで埋め込むときのことを考えると、できるだけキレイな垂直断面にしたいです。
型紙を用意する
アクリル板に型をなぞる
この線でカットしたい!
アクリルのフチから直線で切っていく
曲線は無視。そのまま真っ直ぐ板の端まで貫通
パキン
反対側にも刃を入れて……
パキン
ひとまずこんな感じでOK
しゅるるーーー
曲線も削り込みで出せる
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次はアールの部分。ある程度のところまでは直線で切っているので、残りは削って曲線にするんですよ。
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アールの付いたラインも、何度も繰り返してそぎ落としながら、曲線にしていきます。
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というわけで、時間はかかるけど、少しずつ丁寧に削いでいけば切り出せるんですね〜。
アールも削って出す
キレイなアールが出た
削り終わったところ。薄く剥き取った削りカスがいっぱい。
アクリル断面を磨いて整える
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形は出来ましたが、まだ断面が粗い。最後に、ペーパーで磨いて整えます。
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ペーパーは、何番くらいを使いますか?
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通常の仕上げなら、400番ぐらい。超音波カッターでギリギリまで削らず、最後はペーパーで削って形を作るつもりなら、100番とかを使いますね。
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というわけで、レーザー加工機がなくてもアクリルを切り出したり、磨いたりすることはできます。
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問題は手切りだと非常に時間がかかる、ということだけですね。
シャカシャカシャカ……
美しい断面になった!
この記事の実践アドバイザー
球屋・田中宏信サン。森田研究員に輪をかけたドM。働き者。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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