アクリルを光らせるならサンドブラスト加工か? 手磨きか?
アクリルをDIYで光らせたい! という時の、予算も含めたリアルな方法。なお、前提としてレーザー加工機はなし。そうなると選択肢は、サンドブラスターによるサンドブラスト加工か、サンドペーパーでの手磨きか。両者を現実的に考察する。
DIYでアクリル板を面発光させるには、どの方法がいい?
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アクリル板をDIYで面発光させる手段について、考えてみたいと思います。
●レポーター:イルミちゃん
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「DIYでできる方法」というのが、今回のポイントなわけですね。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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そうですね。ようするに、レーザー加工機はナシってことです。
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なるほど。
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まずおさらいです。透明のアクリル板をLEDで面発光させようとしても、光りません。
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そこで一般DIYユーザーの人だと、乳白色アクリル(↓)を使ったりしますが……
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乳白色アクリルは、LEDの光を弱めてしまいます。あまり導光しないのです。
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これでは、明るく面発光させることは難しい。
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そこで球屋では、透明アクリル板をブラスト加工(表面に傷を付ける)。凹凸が光を喰うことで、面発光します。
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いつもは球屋ではレーザー加工機を使って、切り出すときに同時に表面に傷を付けているんですね。
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しかし、この加工(↑)はレーザー加工機がないとできません……。
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レーザー加工機って確か、中古で安いのを買っても200万円とかするっていう話でしたよね。
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DIYで導入するというのは、無理ありますよね。
断面に光を当てても、透明アクリルは面発光しない。反対側の断面に光が届くのみ。
乳白色アクリルは、LEDの近くだけ、ほんの少し面発光。
※詳しくは「アクリル板の種類。LEDで光らせるならどれ?」参照。
サンドブラスト加工でアクリル板に傷を付ける方法もある
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森田研究員は、レーザー加工機を買う前はどうしていたんですか?
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以前は、サンドブラストを使っていました。
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サンドブラスト?
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研磨材(細かい砂)をエアーの力でぶつけて、アクリル表面に傷を付けるんですよ。
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サンドブラスト自体は、サビ取りなどでも使われますが、アクリルに対して使うときは、注意点があります。
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それはどのような?
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やっかいなのは、ブラスト加工をした表面の荒さが、砂のサイズによって全然違ってくることです。
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砂粒の大きさで、どんな違いが出るのでしょう。
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カンタンに言うと、砂が大きくて粗めだと表面も粗く深く、よく削れる。その方が、LEDの光を当てたときに導光しやすくなるんですけどね。
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じゃあ、粗い方が良い?
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いや、しかしよく削れるがゆえに、ムラっぽくもなりやすい。表面がボコボコになり過ぎるというか。
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なーるほど。
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あとは砂の色にも注意。黒っぽいのを使うと、黒い斑点が付いたような仕上がりになってしまうこともある。それも失敗パターンですね。
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砂次第なんだ。
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そうなんですよ。それによって結果がぜんぜん変わってきます。
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球屋でやるときは、どうしているんでしょう?
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ウチは細かい砂を使っています。柔らかい感じに仕上がりますね。まあ、好みの問題ですが。
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ココで実演です。
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あえて半分だけ養生テープで覆ってやってみました(↓)
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養生テープを剥がして、サンドブラスト加工していない面と比較してみましょう(↓)
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おお〜。
キレイに磨りガラス状になりました〜。 -
サンドブラストで傷を付けるメリットとして、断面まで傷を付けて光らせることができる。これがポイントです。
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ほう。
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レーザー加工機では断面には傷を入れられないので、場合によっては、今でもサンドブラスト加工を使うこともあります。
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そうなんだ!
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細かい砂を使うと、こんな感じに仕上がりますよ。
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レーザー加工機と比べても、繊細な仕上がりにも見えますね。
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サンドブラスターは、アクリルをヘッドライト加工に使い出す時点で買って、昔から使ってますね〜。
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へ〜。
これなら買えるかなぁ? -
サンドブラストの機械は、まあ買おうと思えば買える値段です。小さいのでよければ3万円とか、その位の予算でも購入可能なので。
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ほほう。
意外と安いのもある。 -
しかし、一般ユーザーで問題になるのはコンプレッサーのほうでしょうね。
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あ〜、そう言えばコンプレッサーが必要になるのか。
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そうなんです。ブラストを3万円で用意できたとしても、コンプレッサーは1万円位の廉価版だと、容量がぜんぜん足りません。
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……ムムム。
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100Vでの最大サイズを買うと、15万円前後したりする。なかなかちょっと、手が出せないですよね。
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200万円のレーザー加工機に比べたら、1/10以下になりましたけどね。
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ただ、アクリルヘッドライト加工のためだけにサンドブラストを買うって、かなりコスパの悪い話ですねぇ。
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……う〜ん。
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今後、なにに使うの? っていう。
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まあ、友達のも作ってあげたりとか、ネットオークションで作品を売ったりとか……。
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ほう。
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……そのうち脱サラして、ヘッドライト加工でご飯食べてやる! みたいな。
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そういう人なら、買って損なしですね!
これがサンドブラスター
砂をアクリルにぶつける
シュー
アクリル板の手磨きなら一般DIYでもできるが、精度を上げるには工夫も必要
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「レーザー加工機もサンドブラストも使わずに」となると、残る手段は……
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「手磨き」という方法があることは、以前に紹介しましたが……。
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アクリル表面を均等に傷付けられるのであれば、ペーパーは何番でもできるでしょうね。ただ、少なくとも1000番のペーパー位では、傷が浅すぎるかな〜とは思います。
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なお、上の写真で手磨きに使ったサンドペーパーは、240番くらいでした。
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ちなみに、削れば削るほど光るというものではありません。表面を全面的に、傷付けられさえすれば十分。それ以上削っても意味がない。
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なるほどね〜。
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問題は、手磨きの場合は、磨きの線のムラが出やすいことでしょうね。真っ直ぐ傷を入れるのって、難しいので。
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まあ、手作業ですので限界はある。
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ベストなやり方としては、ウラ面が粘着になっているペーパーを木の板などに当てて、まっすぐ「ザーーっ」と傷を付けるような方法がありますね。
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あ! それって、前に見せてもらったことがある、アルミにヘアラインを入れるやり方と同じだ。
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そうです、そうです。
この時のやり方(↓)と同じです。 -
この例は相手がアルミ板でしたが、アクリルに傷を付けるときも、こんな風に当て木を使ったほうがキレイにできると思いますよ。
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なるほど、なるほど。
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理想は、真っ直ぐに「ザーーー」っとやること。いろんな方向から削ると、キレイな仕上がりにならないので。
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手磨きも、やり方次第で精度を上げられそうですね〜。
シャカシャカ
これならできる?
※具体的なやり方は「アクリル板をDIYでブラスト加工風に処理して光らせる方法」参照。
ザーーーー!
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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