C-HRやレクサス風「流れるウインカー」後付けガイド
レクサスに続いてC-HRも純正で搭載。ますます話題の「流れるウインカー」。自分の車でも流せる? という疑問を持つ人が増えているので、「後付け」のきほんを解説。流れるウインカー(シーケンシャルウインカー)導入の第一歩に。
なお、自作に挑戦するなら「シーケンシャルウインカー自作教室(第1回)」もオススメ。
流れるウインカーとは?
レクサスに続きトヨタ車も流れるウインカー搭載へ
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最近はいよいよ、純正で流れるウインカーを搭載する車が増えてきましたね〜!
●レポーター:イルミちゃん
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C-HRは、トヨタ車としては初の流れるウインカーを搭載して話題になりました。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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てっきりレクサスは流れるウインカーで、トヨタ車は流さずに差別化する戦略なのかと思いましたが……
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トヨタ車も流してきました。……ということは!
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今後は上位グレードやオプションLEDヘッドライトを中心に、流れるウインカーが増える可能性がありますね。
トヨタ車初の流れるウインカー(※)
(※)オプションのLEDヘッドライトでの採用。標準ヘッドライトは従来方式の点滅ウインカー。
✔ ひとくちメモ
●流れるウインカーを初搭載したのはアウディA8。それを受けて、日本の法規も一部改正。2014年10月に流れるウインカー解禁となる。●その後、レクサスなどでも流れるウインカーを採用(RXやLXなど)。ただレクサスGSなどは、新型でも流れないLEDウインカーとなっており、現時点ではごく限られた車種での機能。
流れるウインカーのしくみは?
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まずは、流れるウインカーのおさらいから。
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通常のウインカーは「点滅」しているだけですが、流れるウインカーは横に並んだLEDを「順番に点灯」させていって、流れるように見せる方式です。
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流れるウインカーは、何個もLEDを使っているから出来る技?
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そうですよ。8個とか10個とか、数は車によりますが、必ず複数のLEDを横に並べる必要があります。
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つまりはコレも、自動車のランプがLED化されていくことの副産物なんですね〜。
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今も多くの車で「ウインカーは昔ながらの電球」が使われています。しかし電球では、流れるウインカーには出来ません。
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そういえば、流れるウインカー電球って、売ってないなー。
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それは無理だからです。
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電球のサイズで、LEDを順番に点灯させるLEDバルブを作ればいいのに! それならポン付け交換できない?
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流れてる感が出ないでしょう。その形状。
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そっか。ムリがあるか。
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それに電球のウインカーはリフレクターに反射させて光らせているので、部屋としては1個です。
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電球に細工をしても、部屋全体が反射で光るのは同じ。それって要するに、普通の点滅にしか見えませんよね。
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電球交換で、流れるウインカーにはできないってことか。やっぱり。
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電球交換で対応できるのは、LEDウインカーバルブに交換するところまで、ですね。
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それは結局、流れないLEDウインカーだ。
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ですね。その先に踏み込もうと思ったら、バルブ交換では物理的に無理。ヘッドライトを加工するしかないのです。
C-HRのウインカー部分。
流れるウインカーを後付けする方法
何を買えばできる?
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ここからは、流れるウインカーを後付けする方法について教わります。
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まず必要になるのが、「流れるウインカーリレー」とか「流れるウインカーキット」と呼ばれるアイテムです。
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これを買って付ければ、憧れの流れるウインカーになるのか〜!
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……なりません。
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あれ?
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その点を、勘違いしている人がけっこうたくさんいます。「流れるウインカーユニット」だけを純正ヘッドライトに付けても、流れるウインカーにならないのです。
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バルブ交換みたいな、ポン付けではないのか。あくまでも。
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そうです。なぜかというと、流れるウインカーはさっき言った通り「複数のLEDを順番に点灯させて」はじめて実現できるわけですから……
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ということは……
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ヘッドライト内のウインカー部分に、LEDが入っていないとどうにもなりません。
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あ! そうでした。
光源はLEDが前提だ。 -
そこで、まずはヘッドライト本体内部を加工して、LEDを増設する必要がある、ということなんです。
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それが「ヘッドライト加工」ってことか。
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「ヘッドライト加工」と「流れるウインカーユニット」がセットになって、初めて流れるウインカーになる、という流れです。
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なるほどね〜。
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で、ヘッドライト内部を加工するためには、ヘッドライトのレンズとハウジング(本体部分)を分離する「殻割り」が必須です。
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レンズを開けて→内部にLEDを埋め込んで→「流れるウインカーユニット」と配線をつないでいく、という作業内容ですね。
流れるウインカーリレーキット
ヘッドライト内部にLED基板を仕込む
どういう基板を作って何個のLEDを入れるか等は、ケースバイケース。
殻割りは球屋のようなプロの加工業者にとっては日常的な作業だが、DIY難易度は高い。チャレンジするなら「ヘッドライトを殻割りする前に知っておくべきこと」の記事がおすすめ。
純正で流れないLEDウインカーの車種の場合は?
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あの〜、森田研究員。
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なんでしょう?
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電球の場合、LEDを入れないとダメなのは分かりました。でも! 純正のウインカーが、最初からLEDウインカーになってる車種もありますよね?
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ありますね。あまり多くはないですけど、純正で「流れないLEDウインカー」の車はあります。
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同じレクサスでも、流れるのは今のところRXやLXだけですよね。NX、RC、GSなどは、流れないLEDウインカー。
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そういう車種は、もうヘッドライト内部にLEDが入っているじゃないですか。
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そういうことになりますね。
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ならば、さっきの「流れるウインカーユニット」をポン付けすれば、流れますよね。
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……それもよく聞かれますが、無理です。
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そんなぁ。
もうLEDが入っているのに? -
LEDは入っていますが、「流れるようには回路が作られていない」のです。ウインカー信号が流れてきたら、いっぺんに全LEDが光る回路なんですね。
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そっか。流れないLEDウインカーは、いっぺんに全部が光るんだ。
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例えば、複数の純正LEDが横に並んでいたとしましょう。つまり、見た目にはそのまま流せそうな、都合の良いデザインだった(↓)という仮定。
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でも、これを流れるように点灯させるには、1個ずつ独立した配線で、流れるウインカーユニットにつながないといけない。
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ムムム?
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1個ずつ配線が独立しているからこそ、LED1個ずつ電気を流すタイミングを変えて、「流れているように見せる」ことができるんです。
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そういうことか〜。
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電気の流れる回路は、どうしても作り直しが必要です。
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そのためには、ヘッドライトを開けるしかないんだ。
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純正ウインカーが電球でもLEDでも、ヘッドライトの内部加工が必要なのは同じ、ってことです。
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電球だと、流れるウインカー導入にすっごく不利……ということはないのか。プラス思考でいくと。
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純正でLEDウインカーだとしても、流して見せられるようなデザインで配置されているとは限りませんし。
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流して見せられるデザイン?
レクサスNXのLEDウインカー例。
86後期のLEDウインカー部分。6連でLEDが横に並んでいるが、流れるわけではない。
1個単位ではなく10個ずつ、の場合もあり得るが、点灯ブロックを分けるのは同じこと。
流れるウインカー加工例
レクサスNX、RC、86後期の場合
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純正ウインカーがLEDでも電球でも言えることですが、まずウインカースペースに横幅がないと無理があります。
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横幅がないと……
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そこにLEDを3粒しか入れられなくて、それで順番に点灯させて……流れていると言えるか。
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う〜ん。
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元のヘッドライトのデザインの影響は大きい。例えばレクサスNX、レクサスRCのウインカーって、純正LEDがもともと横長に並んでいます(↓)
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流れるウインカーにしやすいデザイン、ですよね。
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なるほどね!
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この2車種の流れるウインカー加工は、球屋でも大人気のメニューです。
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流れそうで流れないLEDウインカーですからね〜。
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ただし、普通にLED加工するだけだと、車両側でエラーが出たり等の問題がある。
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ムムム。
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エラーへの対応策を持っていないと、純正LEDの流れる加工はできません。
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エラーって……。
どんな? -
車両のコンピューターが誤作動を起こす。レクサスの流れるウインカー加工とは、そういう世界ですね。
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純正がLEDで、かえってややこしいケースもあるのか。
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ちなみに86後期もLEDウインカーなんですが、こちらのほうがまだやりやすい例でした。
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86後期のLEDウインカーは、6個のLEDが同時点灯する仕組み。それを1個ずつ別に、回路を組み直します。
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これも流れるウインカー化できるパターンなんだ。
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レクサスNXのようなコンピューター制御がからむ車種よりは、ずっとやりやすい例と言えます。
レクサスNX
レクサスRC
86後期
ウインカーが横長でない場合は無理?
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球屋で流れるウインカー化している、レクサスNX、RC、86後期は……どれももともと横長にLEDが埋め込まれているパターンですよね。
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その3車種はそうですね。
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では、ウインカー部分が横長でなかったら、流れるウインカーにはできない?
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そこは、どこまで加工できるか(するか)という話になってきます。
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ほほう。
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ひとつの例です。同じ86でも、前期は普通の電球ウインカー。さらにヘッドライトではなく、バンパーにウインカーが付いています。
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ヘッドライトに、そもそもウインカースペースがない!
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でも、純正スモールランプ部には、都合良くLEDが横に並んでいるじゃないですか。
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このLEDを交換して、その部分をウインカー化すれば、流れるウインカーが可能です。
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これはLEDをアンバーに交換して、シーケンシャル点灯させています。
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スゴイ!
こんな手法もあるんだ。 -
単にウインカー部分をLED化する、という方法だけではないので、あとは車種によりけり。アイデア次第な面がありますよね。
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なるほどォ! ここにLEDを埋め込んだら流せそう? とか考えるところからスタートですね。
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球屋では、そういうユーザーさんのアイデアを形にするケースも多いんですよ! 僕らが把握している車種は限られていますからね。
86前期のヘッドライト内部
スモールランプ部の流れるウインカー化
保安基準適合の流れるウインカーとは?
どんな流し方でも車検に通るわけではない
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最後に保安基準について。「流れるウインカーが合法になった」とはいっても、どんな流し方でも車検に通るわけではありません。
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アウディやレクサスのシーケンシャル点灯パターンが合法……なんですよね。具体的には?
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グリル側から外側に向かって、点灯LEDがどんどん増えていく方式です。
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同じ流れるでも、1個だけ光りながら外に移動するとかはダメ。あと、反対向きに流れるのももちろんダメです。
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要するにレクサスやC-HRと同じ点灯パターンじゃないとダメよ、ってことですね。
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そうですね。点滅周期が毎分60〜120回という、ウインカー本来の規定もそのままです。
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なるほど、なるほど。
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増設したLEDも純正ウインカーの信号を拾って光らせるので、どのみち純正と同じ周期になりますけどね。
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そっか。
点滅周期などは、純正と同じになるんだ。 -
なおこの法規の話は、流れるウインカーユニットの選び方にも関わってくるのです。
光が伸びていって、全LEDがいっぺんに消える
流れるウインカーリレーキットの選び方も変わる!?
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従来の流れるウインカーユニットは、さまざまな点灯パターンを内蔵しています。
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今までの流れるウインカーは、ドレスアップカーのコンテストやショーカー向けでしたからね。
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でも、最近は別にドレコンに行かない人でも、流れるウインカーにしたいと思う人が増えるようになりました。
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それはやっぱりレクサスとか、C-HRとか見てたらやりたくもなりますもん。
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ですよね。で、レクサスとかC-HRと同じシーケンシャルパターンだけでいいなら、「内蔵型の流れるウインカーユニット」を選んだほうがいいですね。
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内蔵型?
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さきほど紹介した流れるウインカーユニットは、ヘッドライトの外に設置するものなんですが、もっと小型の新型ユニットもあるんです。
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これ(↑)はヘッドライト内に収められる、コンパクトモデルです。
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内部とか外部とか、どう違うんでしょうか?
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従来型のユニットと違って、車内側に設置したユニットまで配線を引き回す手間がない。作業が劇的にラクになります。つまり工賃も安くなる。
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てことは、DIYユーザーにも内蔵型のほうがオススメ?
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そういうことです。
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でも内蔵型にもデメリットはあるんでしょう?
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従来タイプは、1つで左右のヘッドライト(あるいはテールランプまで)制御できますが、内蔵型はライトひとつに対して1個ずつ必要になりますね。
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てことは、けっきょく高くついたりして?
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いや、それを考慮しても配線作業がラクになるほうが断然トクです。
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そうなんだ。
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流れるウインカー加工で一番大変な作業って、大量の配線の引き回しでしたから。
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なるほど。
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内蔵型のデメリットは、点灯パターンが、純正風シーケンシャル点灯パターンひとつしかないってことですよ。
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でも、純正風の流れるウインカーがやりたい人なら、それはデメリットにはならない。
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そうなんです。だから純正風流れるウインカーをやるなら、ワンオフ加工でもDIYでも、内蔵型の流れるウインカーユニットをオススメします。
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難易度が劇的に下がったもようの「DIYで流れるウインカー化」。今後の展開が楽しみ!
流れるウインカーユニット(従来型)
詳細は、球屋HPの「流れるウインカーユニット 10ブロック(10連) 」参照。
流れるウインカーユニット(内蔵型)
近日、球屋通販サイトでも販売開始予定。球屋のワンオフ加工ではこのユニットが使われている。
ひとつのライトに1個ずつ
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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