速報! C-HRのヘッドライトは、従来のやり方では殻割りできない
話題のC-HRだが、DIYラボ的にフォーカスするのはやはりヘッドライト。オプションのLEDヘッドライトは、流れるウインカーやアクリルメイクでドレスアップ性も高く、まるで「いじるな」と言わんばかりだが、実は「いつものやり方では殻割りできない」ことまで判明。……カギかけられた?
C-HRのヘッドライトは、シーリングにカギかけた?
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今日は、話題のC-HRに関しての“重大な速報”をお届けいたします。
●レポーター:イルミちゃん
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C-HRのヘッドライト(※オプションのLEDヘッドライトでの調査)は、従来のやり方では殻割りできないことが判明いたしました。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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なんと!
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一般的なヘッドライトは、熱を加えることでシーリングが柔らかくなるので、レンズとハウジングの境界線を温めることで分離が可能です。
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皆さん、段ボールとドライヤーで開けてますよね。
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球屋の場合ヒートガンを使いますが、何にせよ「熱で柔らかくなるシーリング」だから、開くわけですね。
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ということは。
C-HRはシーリングじゃないんですか? -
いや、シーリングが使われているという点は同じですが、「熱では柔らかくならないシーリング」なんですよ。
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温めても無駄なんだ。
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そうなんです。シーリングの色が黒いという時点で、怪しいな……とは思っていたのですが。
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シーリングの色で分かるんですか?
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以前は色では判断できなかったんですが、最近の車の傾向としては、通常のシーリングはグレーがほとんど。C-HRは黒なんです(※黒シーリングでも熱で開く車種もある)
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相変わらずマニアックだなぁ。
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それで、爪楊枝でシーリングをツンツンってやってみて、熱をかけても柔らかくならないタイプだと判明しました。
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C-HRネタ、いきなりの悲報からスタートですね。
✔ ひとくちメモ
「殻割り」とは、レンズとハウジングを分離して開けること。ヘッドライト加工をする上では、必須の作業。ヒートガンで殻割りする方法は「ヘッドライトの殻割り(カラわり)方法 序盤のコツ」参照。
隙間に見えるシーリングに、爪楊枝を刺す
爪楊枝による判別方法は「ヘッドライトを殻割りする前に知っておくべきこと」で解説。
開かないヘッドライトの殻割り方法
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あの〜、森田研究員。
私が思うにですね…… -
はい?
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C-HRのヘッドライトって、流れるウインカーやアクリルメイクみたいなことやっていたり、かなり凝ってるじゃないですか。 (※オプションのLEDヘッドライトの場合)
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そうですね。付け加えると、ライト単体のサイズも過去最大級ですね。
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だからね、純正でココまで作ったんだから、球屋のようなヘッドライト加工屋とか、DIYユーザーは余計なことをするなと、カギをかけたんですよ!
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え?
……そ、そうは思えませんが。 -
絶対そうに決まってる。
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まあ……理由はなんであれ、ウチは開けますけどね。
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あん?
開かないって言ったじゃん。 -
熱で開かないのなら、切って開けるまでですよ。開かないヘッドライトなんて、ないのです。
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そういえば。その手があったか!
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テールランプではよくあるパターンだし、ヘッドライトも熱で開かないのはこれが初めてではないです。前例でいうと、ハリアーがそうでしたから。
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な〜んだ。
私の考え過ぎかぁ。
C-HRのヘッドライト
C-HRヘッドライト分解に挑む!
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まずは超音波カッターを用意します。
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基本的には、レンズとハウジングの境界線を狙って切っていきますが、ツメの受けなどの出っ張りがあるところは、事前に切り落としておきます。
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C-HRはハウジングがちょっと固めです。それと、直線が長くて疲れる。
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休み休み切ればいいのに。
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そうなんですが、超音波カッターで溶かし切っているので、刃を止めて抜くと、どうしても小さな段差ができる。防水のしやすさ、という点で考えると、なるべく刃を止めずに切るのがコツ。
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まだ開いてないけど、もう閉じる時の心配してるんですね。
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殻割りは切ればできます。けれど、問題は閉じる時の防水。そっちのほうが重要です。
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一筆書き……的な切り?
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それは無理。というか、固いハウジングを切っているので、超音波カッターの刃が曲がってくる。そうなると思い通りのラインで切れなくなるので、刃を何回も交換しないとダメです。
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C-HRはラインが長いから、刃がいっぱいいりそうだ。
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1辺を切るだけで、刃を3枚使いました。これはさすがに初めてですね。超音波カッターも熱を持つので、休ませないと、壊れてしまいます。
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基本的にはレンズとハウジングの境界線を狙って切っていきますが、ハウジング側からエラ状に突起している部分などは、エラを先に落とさないと境界を切れません。
✔ ひとくちメモ
超音波カッターとは刃を高速振動させることで、樹脂を溶かしながら切る工具。殻割りに限らず、ヘッドライト加工ではあると重宝する。薄めのアクリル板も切れる。切断して開けた場合はどのみち再溶着するので、この手のツメはもう意味がなくなる。だから迷わず切っている。
そして境界線に刃を入れて切っていく
レンズとハウジングが分かれた
ハウジング側の出っ張りを切る場面
超音波カッターで削ぎ落とす
エラがなくなれば、境界線に刃が入る
一回の切断では殻割りまでは到達しない
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というわけで、こうして全周の境界線を切り進めるわけですが……
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グルっと切れば、パカっと。
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……とは絶対にいきません。
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切ったのに!?
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熱で溶かしながら切るから、部分的に再溶着してしまうところも出てくる。超音波カッターの殻割りは、1発では無理なんです。
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ここで注意。追加で部分的に切るときは、切りきった瞬間に、勢いあまって刃の位置が飛びやすい。
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なるべく、刃をレンズ方向に向けたりしないような、切り方の工夫もしているんですね。
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間違っても、ヘラでこじ開けようとしてはいけません。
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レンズが割れます。
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手前の境界線は切れているけど、実は奥のシールが切れていない、なんていう場所も出てきます。
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こうやって切れていない場所を調べながら、切っていくと……
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レンズを浮かすように(↓)抜きます。
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ドライヤーやヒートガンなどでの熱分解ができないC-HRですが、ヘッドライト殻割りが絶対に不可能ということではありません。
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……ただ、難易度は高めですね。それと、切って開けたあと、閉める時の防水処理の難易度も高めです。
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な、なるほど。
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そのあたりは、「切って殻割りしたライトやテールを殻閉じする方法」で詳しく解説した通りです。
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……というわけで、球屋がC-HRのヘッドライトをどう料理するのか!? 今後の動向を注視したいと思います。
切れていない場所を金属製ヘラで探す
1周目より追加カットのほうが注意が必要
次第に全体的にヘラが入るようになる
ヘラの先端付近の黒いのがシーリング。
パカ!
この記事の実践アドバイザー
球屋・田中宏信サン。森田研究員に輪をかけたドM。働き者。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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