プロに教わるデッドニング講習
ドアデッドニングの効果を、実際にテストしてみた結果……!
ドアデッドニングは効果があるとよく言われているが、本当に本当なのか。ここでは「純正スピーカーのまま、ドアデッドニングだけ施工した」車両で、音の波形を測定してみた。ドアデッドニング前と後で、どう変わったかというと…
「純正スピーカー&ドアデッドニング施工前」の音を測定しておく
-
「ドア内張りデッドニング(ビビリ対策)方法╱仕上げ編」の続きです。
●アドバイザー:カーデン 佐伯研究員
-
ドアデッドニング施工方法は前回までで終わりなんですが、この話にはつづきがありまして……
●レポーター:イルミちゃん
-
実は今回の企画では「デッドニングすると音がどう変化するのか」を、実際に測定していました。
-
スピーカーを交換したり、ドアデッドニングすることで「音が変わる」とは、よく言われてはいますが……
-
デッドニングの効果を耳で体感することはできます。でもその変化を「目」で見る機会というのは無いですよね。
-
音は目に見えないからねぇ……。
-
純正の音に不満を持っている人は多いんですけれど、それもあくまでも感覚的なものです。
-
確かに。純正の性能が、数値で分かるわけもないし。
-
そこで今回のデッドニング企画では「ドアデッドニングする前とした後で、音の波形がどう変わるのか?」を、実際に測ってみました。
-
それをどうやって測定するのかというと……
-
専用マイクとPCを接続し、ソフトウェア上で音の波形が見られる測定機を使います。
-
マイクまで使うのね。
-
マイクは、運転手の耳(アタマ)の位置近くにセットしたいので、運転席のヘッドレストに固定しました。
-
これは簡易的な方法ですけれどね。
-
「デッドニング前」と「デッドニング後」に、同じ音源を再生して測るのかな?
-
そうですね。
ピンクノイズを再生して測ります。 -
ピンクノイズって?
-
「ザーー」っていう、ノイズだけ録音されたソースを再生するんですよ。
-
へー!
音楽じゃないの? -
音楽だと曲によってもバラバラですし。
-
それもそうですね。
-
ピンクノイズの中には、低音から高音までの音が入っています。それを使って測定すると、それぞれの音域でどう変化するかが測れます。
-
なるほど。
-
ということで、まずはドアデッドニング前の純正状態から測定しておきます。
-
今回テストする車種はカローラスポーツで、スピーカーも純正です。
-
ナビ側のボリュームによっても変わるので、ボリュームは「10」で固定し、フェダー調整は一番前振りにした状態で測定しています。
-
いざ測定!
-
波形が出ました。
-
これが純正状態の波形か~。左右方向の軸が、音の周波数(音の高さ)を示しているんですね。
-
そして上下方向が「その音域がどの位出ているかのボリューム」を示します。補足しておくと、ボリュームが一番出た100%のところが「0dB」(基準)となります。
-
0dB=無音ということではナイ。騒音などを測定しているときのデシベルとは、ちょっと意味合いが異なりますね。
-
見方としては、バーが上に伸びているところほど、音がよく出ているということです。
-
……といってもこれだけ見たところで、良いも悪いもよく分かりませんが。
-
問題はこれがドアデッドニング施工後にどう変わるのか、なんですね。
ドアデッドニング前╱純正の音の波形
ドアデッドニング後の音を測定。その効果は…?
-
その後「ドアデッドニング+ドア内張りデッドニング」まで行ったのは、今回の連載でお伝えした通り。
-
撮影したのは片側ドアですが、もちろん両ドアの施工が終わったあとで、改めて音を測定しています。
-
その結果、音の波形はどう変わったのか…!
-
まったく同条件で測定してみたところ、こうなりました。
-
ムムム……。これだけだと分かりにくいので、純正の波形と並べて比較してみます。
-
低域がよく出るようになった!
-
そうですね。「ドアデッドニングする効果は、低域がよく出るようになる」とはよく言われていますが……
-
それはウソではなかった。だけど、逆に高域はあまり変わっている感じがしないな。
-
周波数でいうと、1キロヘルツ(1000ヘルツ)ぐらいから下が変わってくる、という感じですね。
-
つまり中低音~低音にかけてのゾーンがパワーアップしている。
-
特に500ヘルツ以下の低音域はハッキリ変わっていますね。純正ではあまり出ていない低域まで、しっかり出ているのもポイントです。
-
今回はあえて純正スピーカーのままで、ドアデッドニングだけを施工しているのですが……
-
純正スピーカーのままでも、ドアデッドニングする効果はハッキリ出たと言える。
-
純正スピーカーのまま「ドアデッドニングだけ」した場合も、聴感上は良くなるのは過去の経験からわかっていましたが、改めて数値で確認できましたね。
-
必ずしもスピーカー交換までしなくても、音は変えられるんだ。
-
ただ、高域まで含めて音を大きく変えようとすれば、やはりスピーカー交換も必要でしょうけどね。
ドアデッドニング後の音の波形
DIY Laboアドバイザー:佐伯武彦
コワモテだけど優しく謙虚な佐伯(さえき)研究員。オーディオイベントでは数々の賞を取っている、腕利きインストーラーだ。●カーデン TEL:0561-35-5015 住所:愛知県みよし市黒笹町西新田1205-1 営業時間9:00-18:00 火曜・水曜定休
関連記事
- キットを使わないドアデッドニングはどうやればいいのか? 材料は?
- ドアデッドニングの制振材の貼り方はいろいろあるが、どれがいいのか?
- キットを使わないドアデッドニング方法①╱下準備編
- キットを使わないドアデッドニング方法②╱アウターパネルへの制振材の貼り方
- キットを使わないドアデッドニング方法③╱インナーパネルへの制振材の貼り方
- キットを使わないドアデッドニング方法④╱インナーパネルへの制振材の貼り方(後編)
- キットを使わない制振材単体でのドアデッドニングにおける注意点
- 〈ドア内張りビビリ対策〉としてのデッドニングもある
- ドア内張りデッドニング(ビビリ対策)方法
- ドア内張りデッドニング(ビビリ対策)方法╱仕上げ編
- カーオーディオのプロに教わるデッドニング講習スタート
- プロもオススメするオーディオテクニカのデッドニングキット
- ドア内張りを外すときの心得。傷をつけない養生のコツ
- ドア内張りを外すときの心得。傷をつけない養生のコツ(後編)
- ブチルゴムの取り方(裏技編)
- ブチルゴムの取り方(地道編)
- ドアデッドニング時のサービスホール型取り方法
- ドア外側の鉄板(アウターパネル)のデッドニング方法
- ドア内側の鉄板(インナーパネル)のデッドニング方法
- ドアデッドニングで配線の通っているサービスホールを上手に塞ぐコツ
- ドアデッドニングの仕上げ編
- ドアデッドニングでの制振材の貼り方についての注意点(補足)
- ドアデッドニングの制振材の貼り方╱全面貼りのメリット・デメリット
- 天井デッドニングとフロアデッドニングの違い。どっちを先にやる?
- 天井デッドニングの材料(制振材・吸音材・断熱材)はどれを使う?
- 天井デッドニングのやり方・制振材の貼り方
- 天井デッドニングのやり方・制振材の貼り方(後編)
- 天井デッドニングのやり方・制振材の貼り方(補強編)
- 天井デッドニングのやり方・吸音材&断熱材の貼り方
- 天井デッドニングのやり方・吸音材&断熱材の貼り方(後編)
- フロアデッドニングの材料(部材)はどれを使う?
- フロアデッドニングのやり方・制振材の貼り方(運転席編)
- フロアデッドニングのやり方・制振材の貼り方(助手席&フレーム編)
- フロアデッドニングのやり方・制振材の貼り方(後席編)
- フロアデッドニングのやり方・断熱材の貼り方
- ラゲッジルームデッドニングの効果と優先度はいかほどか!?
- ラゲッジルームデッドニングのやり方をプロに教わる
- スペアタイヤハウスのデッドニング方法(制振と防音対策)
- スペアタイヤハウスのデッドニング方法(制振と防音対策)╱後編
- タイヤハウスのデッドニングの効果と材料
- タイヤハウスのデッドニング方法
- タイヤハウスのデッドニング方法(インナーカバー編)
ドアデッドニング講習(キット不使用)
ドアデッドニング講習(キット使用)
デッドニング講習(ドア以外)