デッドニング完全ガイド
ドアデッドニング施工方法⑥╱サービスホールの塞ぎ方
デッドニングにおける、サービスホールの塞ぎ方。ドア鉄板のサービスホール(穴)が制振材より大きかったら? 穴から出ているハーネス(純正配線)に施工を阻まれたらどうする? などサービスホール塞ぎに立ちはだかる障害を、ひとつずつ攻略する。
サービスホール塞ぎには「インナーパネル用制振シート」を使う
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「ドアデッドニング施工方法⑤╱アウターパネルへの吸音材の貼り方」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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ここからは、インナーパネル(室内側の鉄板)のデッドニング方法です。
●アドバイザー:エーモン 中塚研究員
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インナーパネルとは、ドア内張りを外したときに、手前に見えている鉄板のほう。
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そしてインナーパネルのデッドニングの主な目的は、サービスホール塞ぎです。
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今回のモデル車(スペーシア)だと、サービスホールは5箇所ありました。
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純正の防水ビニールを剥がすときに、サービスホールの型取りはしてあります。
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まず、上の工程で型取りした防水ビニールを使って制振材(制振シート)を切り出します。
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サービスホールは制振材で塞ぐんですね。
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ハイ。制振材にはアウターパネル用とインナーパネル用があって、インナーパネル用の制振材を使って塞ぎます。
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今回はドア用のデッドニングキット・ハイグレードを使っているので、上の制振材と同じものが最初からキットに7枚入っています。
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7枚ね。
ドア片側で、3.5枚分か。 -
そうです。
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それで足りなかったら、単品で買い足すってこと?
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そうなんですけど、そういうケースはほとんど無いと思いますよ。
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フムフム。
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今回のスペーシアのケースですと、片側3枚の制振材でおさまりました。
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なお、一番大きいサービスホールはどういう向きでも1枚で入りきらなかったので2枚重ねています。
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そういう手もアリなんですね。
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ハイ。ただしこの場合は、制振シートの「重ねしろ」として3センチ程度は確保します。つまり、上写真でも3センチ以上重ねています。
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なるほど。
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あとは、制振シートがなるべく無駄なく使えるように、並べ方を考えて型紙(ビニール)を配置しましょう。
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入らないようでも、向きとかいろいろ変えてみると、上手く収まるかも知れません。
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そうですね。例えば、ドアで型取りした時点では、2つのサービスホールをまとめて型取りしたりしましたが……
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いざ制振シートの上に配置してみると収まりが悪かったので、けっきょく細かく切ることにしました。
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そうすることで3枚のシート上に全部並べられましたので、これでいきます。
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上手にパズルをやれば、制振シートの使用枚数を減らせるわけですね。
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余った分は、ドア鉄板自体の制振(補強)に回せるので、無駄にはなりません。
✔ 型取りについては、「ドアデッドニング施工方法②╱サービスホールの型取り」参照。
単品で買う場合はコレ
今回使っているキット
インナーパネル用制振材の切り出し
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型取りした防水ビニールに沿って制振材を切り出すときは、制振圧着ツールのカドの部分を使うと便利です。
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こうやって制振材に線を付けたら、ハサミで切り出しましょう。
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この場面、普通のハサミでは粘着剤がくっついて苦戦しますので、フッ素コートしてあるハサミを使います。
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制振材が、サービスホールの形に切り出せました。
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そして、2枚の制振材にまたがる大きなサービスホールは、このように「重ねしろ」を取っておきます。
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制振材を重ねて使う場合、重ねしろが少ないと強度が落ちるので、注意しましょう。
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ここは、制振材をケチる場面ではありませんね。
制振圧着ツールで押して線を付ける
サービスホールの塞ぎ方
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制振材をサービスホールの形に切り出せたら、あとは塞ぐだけ!
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……といっても、単純にペタっと貼るだけではありませんからね。
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ん?
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サービスホール(穴)には、無数のハーネス(純正配線)が通過しているので、そのままではうまく貼れません。
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この配線、ジャマだなぁ。
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こういうところは、まず配線がどの位置にくるかを確認したうえで、制振材に切れ込みを入れるんですよ。
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そして、切れ込みで配線を逃がしながら、サービスホールを塞ぎます。
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おぉ、なるほど。
キレイに塞げた。 -
そして制振材をドア鉄板に圧着します。
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これで、サービスホールをひとつ塞げたわけですね~。
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もうひとつ、サービスホールを塞ぐときの注意点は、「内張りピンの穴を塞がないこと」です。
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あ。
……それがあった。 -
型取りの段階では、サービスホールぎりぎりの穴は無視して型取りしましたよね。
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「のりしろ」確保を優先でと……そういえば中塚研究員が言ってましたね。少しだけ忘れてました。
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しかし、そのことを忘れてそのまま貼ったら、ドア内張りが戻せなくなりますので、カッターなどでくりぬいて穴を開けます。
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ナルホド。
これでいいのか。 -
位置合わせをしながら、穴を開けたり、配線逃がしの切れ込みを入れたりしながら慎重に進みます。
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これがサービスホールの塞ぎ方です。
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単純にペタリと塞げるわけではない。
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それと、制振材を凹ませながらサービスホールを塞ぐ方法についても解説しておきましょう。
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制振材を凹ませる?
……なんで? -
……完全に忘れているようですが、今回のモデル車(スペーシア)も、一番大きいサービスホールは内張りが裏側に出っ張っていましたよね。
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あぶねー。
平らに塞ぐところだった! -
……。
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「サービスホールを塞ぐ方法(後編)」に続く。
チョキ
✔ 従来はヘラを使っていたが、ここでは制振シート圧着ツール(8387)を使っている。デッドニングキットにも同梱されている。
✔ 純正の防水ビニールも凹ませてあった。
DIY Laboアドバイザー:中塚雅彦
カーDIY用品メーカー・エーモン広報担当で、エーモンの顔と言える人物。端子や配線コードの仕様など細かいところまで深い知識を持っているので、DIYラボでは「電装DIYのきほん」に関する記事を担当。中塚ハカセ、とも呼ばれている。
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