キャンバーボルトの「調整式」「固定式」の違いと、よくある誤解

キャンバーボルトには、調整式と固定式がある。そしてこの違いについて、誤解している人が多い。何となく「調整できないよりも、できるほうがよさそう」という気がするかもしれないが、それはそうとは限らない。どっちがいいかは、人による。

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  今日は、キャンバーボルトの調整式と固定式の違いについて教わります。

  ●レポーター：イルミちゃん

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  J-LINEのキャンバーボルトは固定式です。

  ●アドバイザー：J-LINE 氏家研究員

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  そうなんですよね。
  なぜかJ-LINEは、固定式にこだわりがある。

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  何かヘンですか？

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  ……そのせいで、DIYラボにもよくこんな質問が来るんですよ。

J-LINEのキャンバーボルトには角度の違いで2種類ありますが、「調整式」はないんですか？

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  これ、質問してくるのはごもっともで……確かに、なんで出さないんだろう？

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  ……なるほど。

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  レギュラータイプと鬼キャンタイプの2種類があって、角度は選べますけれど……

レギュラータイプ



鬼キャンタイプ


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  でも、調整式のキャンバーボルトなら、キャンバー角の調整ができる、ってことでしょ？

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  そうですね。

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  だったら、そもそも調整式を用意しておけば、固定式はいらないじゃないですか。

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  キャンバーボルトに限らず、そこを誤解している人が多いんですが……足回りパーツの「固定式」と「調整式」の違いは、優劣ではありません。

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  と言うと？

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  双方にメリット・デメリットがある話です。だから「調整式のほうがエライ」という考えがそもそも誤解です。

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  ホホウ。
  興味深い話ですねソレ。

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  例えばキャンバーボルトを付ける目的が、アライメントの補正だったとします。鬼キャンにしたい、とかそういうのじゃなくて。

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  マジメなキャンバー調整ですね。

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  例えばアッパーマウントが調整式ではないけれど、キャンバー角を補正したいこともありますよね。


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  左右のズレを補正したい……とか。

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  そういう微調整が目的なら、調整式のキャンバーボルトが確かに向いていますよね。

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  キャンバー角の微調整が効くから。

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  そうです。

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  やっぱり調整式のほうがエライじゃないですか。

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  しかし、いっぽうで、調整式のキャンバーボルトは、物理的にあまりキャンバー角を付けられないデメリットが生じます。

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  え？
  ……そうなの？

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  偏心カムを使って調整できるようにするんですが、ボルトの限られた径の範囲でのカムの動きになるので、調整幅は限られてくるんですよ。

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  フムフム。

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  だから、調整式といっても「1度～5度までキャンバー角を調整できます」……というノリでは作れないんですね。

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  もっと小さい範囲の「微調整」用途なんですね。

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  そうなんです。で、あくまでもキャンバー角の角度そのものを求めるなら、ボルト自体を細くする固定式のキャンバーボルトのほうが有利。


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  J-LINEが固定式にこだわるのはソレ？

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  ですね。見た目とか、タイヤが干渉するのをかわしたいとか、そういうドレスアップ用途でキャンバー角を付ける人は、そもそも角度を求めている人が多いので。

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  確かにそうでしょうね。

ようは「微調整（補正）」というよりは「角度重視」の人が多い



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  それは分かる。

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  Jラインのキャンバーボルトにしても、標準タイプより鬼キャンタイプのほうが圧倒的に人気あります。7～8割は鬼キャンタイプを選びますから。

✔ キャンバーボルトで何度のキャンバー角が付くかは車種によるが、J-LINEのキャンバーボルトだと、レギュラータイプで2～3度、鬼キャンタイプで3～4度といったレベル。

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※詳しくは「鬼キャンタイプのキャンバーボルトとは？」で解説している。

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  ドレスアップ目的でキャンバーボルトを付ける人は、調整範囲があってもけっきょく全開倒しする人がほとんどです。

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  ……なんなら「2本入れたらダメですか？」という人も少なくない世界です。

  ※「キャンバーボルトの上下交換は、なぜやらないほうがいいのか？」参照。

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  J-LINEのキャンバーボルトはそういったドレスアップカー向けのアイテムなので、調整式は作らないのです。

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  ナットク。