車中泊シリーズ
スタッキングできるフラットキットと、できないキットの違い
イルミスタ・アウトドアの「フラットキット」は、重ねてコンパクトに収容できる入れ子型っぽいスタッキングスタイルが特長だが、車内空間の違いによってスタッキングできないものもある。そのあたりを具体的に解説する。
箱バンタイプのフラットキットならスタッキングは可能
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今日はフラットキットのスタッキングについての追加解説です。
●イルミスタ・アウトドア:長さん
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スタッキングとは、重ねてコンパクトに収納することを指します。このように(↓)
●レポーター:イルミちゃん
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このスタッキングスタイルは、イルミスタのフラットキットの特長とも言えます。
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そうなんですが例外もあるので、そのあたりの違いを解説しておきたいなと。
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例外というのは?
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例えば前回紹介したハスラーのソロフラットキット(※)は、スタッキングはできないタイプです。
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でも、車から降ろせないわけじゃないんでしょう?
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はい。アルミフレームをバラして降ろせます。でも上の写真のように、フレームを1枚にまとめる形態のスタッキングはできない、という意味です。
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スタッキングできる・できないの差は、どこからくるのでしょうか?
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今までに紹介してきたフラットキットのバリエーションを例に説明していきましょう。
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ふむ。
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例えばハイゼットカーゴのソロフラットキットの場合は、アルミフレーム枠が2つあります。
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ハイエースのフルフラットキットの場合は、アルミフレーム枠を3つ使いました。
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数や大きさは違いますけど、箱型のフレーム枠を置いて、その上に天板を載せるという構造は同じです。
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フムフム。
両者の構造は同じ。 -
こういった枠の構成でできたフラットキットは、基本的にはスタッキング可能なように作れます(※例外はある)
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なるほど。
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いっぽうで枠を使っていないフラットキットもあります。
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それが最新作の、ハスラーのような作りなんですね。
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箱バンタイプの車ならフレーム枠を載せて作れますが、乗用車に近い室内空間になってくると、フレーム枠を載せるのは厳しかったりします。
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室内空間の問題ですね。高さとか。
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それもありますが、理由はそれだけではありません。
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と言うと…?
S321Vハイゼットカーゴでのスタッキング例。
ハスラーの室内をフラット化させる複雑なフレームレイアウト
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ハスラーがまさにそうだったんですが、アルミフレームの足の置き場がなかなか無いのです。
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ムムム。言われてみれば、ハイゼットカーゴで作ったときとは全然違いますね。
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この場合は「足を落とせる場所を選んで落とす」組み方になってきます。
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なるほど、なるほど。
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四角になるとも限りません。「枠」という考え方ではないんです。
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実際、ハスラーではかなり複雑なフレームレイアウトになっています。
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足を落とせるポイントを選びながらフレームを組んだ結果、こうなったというレイアウトです。
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あー。どこから作るのか迷いそうな…。
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このようなケースでは、まず一番後ろのアルミフレームを1本決めます。そこからT字に、前後の柱になる1本を通しました。
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フムフム。
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その先は、どのあたりのポイントに足を落とせそうかを考えながら、横パイプと足パイプを作っていきます。
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ナルホドー! そうやってフレームレイアウトを作っているんだ。
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四角い枠を載せるだけでいい車に比べると、かなり複雑になってきます。
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確かに。
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そして複雑なレイアウトだと、枠タイプのスタッキングはできません。
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アルミフレームの長さも、1本ずつバラバラですもんねぇ。
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そうなんですよ。「スタッキング」という前提条件がある場合は、それができる寸法にして設計しないといけませんので。
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ハスラーのような複雑なフレームレイアウトだと、無理がある。
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とはいえハスラーの場合も、助手席シート上に伸びている足だけ外して「後ろのみのフラット」にはできたりとか……
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あるいは運転席側リアシート上のフレームを外して「片側だけフラット」状態にするなど、可変はできます。
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フムフム。
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全部バラバラにして車から降ろすことなどは、もちろんできます。ハスラーの例でいうと、最長のフレームが1本107センチでした。
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それなら特に収納に困ることはなさそう。
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アウトドアをやっている人だとキャリアを積んでいたりもするので、キャリアの中にバラしたフレームを積むこともできると思います。
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そして現地で組み立てればいい。
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その使い方だとしたら、スタッキングはそもそも必要ないですね。
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確かに。
収納の仕方にもよります。 -
実際のところ、そんなにスタッキングなんてする? っていう人も多いでしょうし、そういう方々にとっては、両者の違いはあまり問題にはならないと思われます。
>>> 次回に続く
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