165/40R16と6.5Jのマッチングが軽自動車のローダウンに一番有利
車高を落として乗る軽自動車の、タイヤ&ホイールサイズの選び方を考える。ホイールの太さで引っ張りタイヤ具合が決まる軽自動車。選択肢は多くないが、足まわりのプロ・J-LINEの結論は、6.5Jと165/40R16のマッチングだ。記事中では、5.5Jと6.5Jを実際に比較。選択の理由がわかる。
軽自動車はホイールの太さで引っ張りタイヤ具合が決まる
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軽自動車のタイヤ&ホイールサイズ選びについてなんですが、J-LINEで作る車は、昔から16インチの6.5Jを使うのが定番になっていますよね?
●レポーター:イルミちゃん
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そうですね。タイヤが165/40R16で、それを6.5Jで引っ張るのが一番有利なので。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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16インチのほうが17インチより低車高に有利なのは当然ですが、「6.5Jが一番有利」というのはなぜですか?
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まず、大前提。ドレスアップ的にはできるだけホイールを太くしたい、というのがあるわけじゃないですか。
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そうなんです。
だから、7Jじゃダメなんですか? -
軽自動車に7Jを履く人もたくさんいますが、純正フェンダーの軽自動車に履くと、内側に当たるといったモンダイが出てくるサイズ。
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7Jは、さすがに太すぎると。
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オーバーフェンダーにする人は、軽自動車でも7Jとか7.5Jなどを履いています。でもそういう加工はしない、普通の軽自動車のタイヤハウスで考えたら無理がありますね。
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なるほど。
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引っ張り具合という側面でいうと、165/40R16を7Jに組むと、いい感じに引っ張ります。そういう意味では、7Jは惜しい感じなんですけどね。
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6.5Jで、その引っ張り感は出せないんですか?
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軽自動車の場合は、タイヤサイズが165に限られている、という点がポイントなのです。
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そっか。
もっと細いタイヤに、という選択肢がない。 -
そうなんです。タイヤが同じ165だとすると、あとはホイールを太くすることで引っ張りタイヤにするしかない。
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つまり、ホイールの太さで引っ張りタイヤ加減が決まるってことですね〜。
車体のロールなども考えると、6.5Jが軽自動車の限界域
5.5Jと6.5Jを比較
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本来の軽自動車用ホイールといえば、5Jとか5.5Jといった細いサイズなわけですが……、
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5.5Jに165/40R16を履かせると、こんな感じ(↓)になります。
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軽自動車の場合、ここからタイヤを細くして引っ張る、という選択肢がないので……、
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すなわち引っ張り感をアップするには、ホイールのJ数を太くするしかない。
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ホイールが太くなることで、タイヤが引っ張られてカドが丸くなります。
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165/40R16の適合リム幅は6Jまで。だから6.5Jだと、いわゆる引っ張りタイヤになるわけですね〜。
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ホイールをなるべく外側に出そうとすると、「引っ張りタイヤでカドを寝かせる」ことが重要になるのですが……、
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軽自動車は、タイヤサイズでコントロールができないんだ。
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そうなんです。タイヤ幅が165しかない中で、引っ張ってタイヤのショルダーを寝かせるためには、J数を太くするしかない。
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ということは、ホイールが細すぎてもタイヤが車体に当たりやすくなるってこと?
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ハイ。細いホイールのほうが当たりにくい、という話ではないんです。
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太いホイールのほうが当たるのは分かるけど、細いと当たるって意外ですね〜。
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ホイールに対するクリアランスという意味では、6.5Jより5.5Jのほうが余裕は出るんですけど、タイヤは角張っているので。
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5.5Jだと、逆に低車高には不利になってくるんだ。
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ですね。そういう意味でもできるだけホイールを太くしたいのが、軽自動車のドレスアップ事情なんですね。
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なるほど、なるほど。
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ただ、7J以上のサイズは、通常の軽自動車のタイヤハウス内に収めようとするといろいろなリスクが出てくる。
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内側に当たらないように、オフセットで外側に逃がしたら?
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当然7Jなら外側に出し気味にするしかないですが、そうなるとツメに当たったりするので、ツメを全部バッサリ切る、といった処理も必要になる。
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J-LINEがオススメする6.5J×165/40R16のマッチングは、ツメも切らないのが前提なんですね。
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ただし上のワゴンRのリアフェンダーは、ツメが下の方に来ると太くなる部分がありました。そこはさすがに切らないと6.5Jでも履けませんが、基本的にツメは残します。
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では……。
ツメを切るなら、7Jでも履けるのかなあ。 -
ただ6.5Jでも、車体がロールした時だけは当たったりする位なので……。
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そうなんだ。
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どの車種でも言えることですが、タイヤハウス内はアーチ状だから、ホイールが外側に来ると、天井よりアーチが低いところにタイヤが来てしまうことになります。
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あー、なるほど。
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そうすると、タイヤハウスの天井まではまだまだ距離があるのに、その手前でタイヤが接触してしまう。
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タイヤが当たりやすくなるわけですね。
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そうなんですよ。だから上側スペースに余裕があって、一番当たりにくいところにタイヤを置くのが理想です。
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そのほうが、足まわりもストロークさせやすいんですね。
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そうです。そういう風に考えると、6.5Jが一番都合がいいのです。
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なるほどね〜。7Jだと、その美味しいゾーンから外れはじめてしまうわけか。
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6.5Jにする理由って、けっこういろいろあるんですよ。
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車高調だけでなくアクスルまで交換するような人は、165/40R16×6.5Jが有利と覚えておきましょう。
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ただし、同じ165/40でも、角張ったタイヤだと当たりやすいですよ。
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現在のJ-LINEではルッチーニの165/40R16を使っている、という点もポイントです。
5.5J×165/40R16のマッチング
使ったのは165/40R16の中でも他銘柄より当たりにくい、ルッチーニ・ブォーノスポーツ
6.5J×165/40R16のマッチング
5.5Jのタイヤのカド(ショルダー)
6.5Jのタイヤのカド(ショルダー)
✔ ひとくちメモ
現在のルッチーニの165/40R16は車高の低さにこだわるJ-LINEの意見を取り入れてできたモデル。そのため、一般的な165/40タイヤよりも当たりにくい形状をしているのだ。
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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