通好みの電装カスタム
足で開くハンズフリーオートスライドドアの後付け方法
● DIYラボ読者のみなさまへ
この記事は2017年8月24日の時点での取材に基づいて作成されましたが、その後、製品の仕様が改良されました。取り付け難易度が大幅に下がった「ハンズフリーオートスライドドア」の後付け情報は、以下の最新記事をごらんください。※追記10月13日
※「足で開くハンズフリーオートスライドドアの後付け方法(改訂版)」
足をかざすと開く、半自動ドアのような「ハンズフリーオートスライドドア」の後付け方法を解説する。必要な配線がかなりマニアックなのが特徴だが、CEPのキットは配線の位置情報の公開が前提なので、やりやすいと言える。
ハンズフリーオートスライドドア後付けに必要な配線
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以前に紹介した「スライドドアが足で開くハンズフリー機能は、後付けできる」の続きです。
●レポーター:イルミちゃん
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今回は、いわゆるハンズフリーオートスライドドア化するための、イージーオープンキットの取り付け方法を解説したいと思います。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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このキットは、けっこうマニアックな配線作業が多いですね〜。
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難しいってこと?
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いや、実際の作業はそうでもないんですが、他の電装品ではあまり登場しない線が出てくるので、難しく感じるかも知れません。
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あまり出てこない線って、どんな線なんだろう?
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必要な線は、以下の通りです。
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な、なんか聞いたこともない線がいろいろ出てきたッ!! 常時電源とかアースとかIG電源が癒しに見える。
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簡単に説明しましょう。
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あとは、常時電源、アース、IG電源といった一般的な電源取り出しです。
CEP(コムエンタープライズ)のイージーオープンキット
✔ スライドドア開閉線
✔ ロック状態検知線
✔ スライドドアカーテシ線
✔ ルームランプ線(マイナスコントロール線)
✔ ウインカー線
✔ 常時電源
✔ アース
✔ IG電源(またはACC電源)
スライドドア開閉線
スライドドア開閉線は、文字通り、スライドドアを開閉させるための信号を送っている線のこと。ロック状態検知線
ロック状態検知線は、スライドドアが現在ロック状態なのかアンロック状態なのかを検知する線のこと。スライドドアカーテシ線
スライドドアカーテシ線は、スライドドアが開いているか閉まっているかを検知する線のこと。ルームランプ線
ここではルームランプのドア連動マイナスコントロール線のことを指す。一般的には、LEDを全ドア連動にするときなどに取り出す線。ウインカー線
ウインカー線は、スライドドアをセンサーで開ける時、ウインカー点滅させるために取る。助手席スライドドア用に取り付ける場合、左ウインカー線を取る。具体的にどこから線を取り出すのか?
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これらの配線たちを、どこでどうやって捕まえるのでしょうか?
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ヴェルファイアを例にすると、グローブボックス裏にコンピューターがあって、そこに必要な配線の大半が集まっています。
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へー。スライドドア近くではなくて、意外な場所で取れるんだ。
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一例で、スライドドア開閉線。そもそも車には、スライドドアのスイッチがあります。ヴェルファイアの場合だと、それが天井のルームランプのところに付いています。
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その線が、上からピラーを通って降りてきて、グローブボックス裏のコンピューターにつながっていくので、その周辺でも捕まえることができるんです。
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そっか! 結局、グローブボックス裏のコンピューターにつながっているから。
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そうなんです。取りやすい場所、という意味ではグローブボックスの裏で取ったほうが圧倒的にラク。
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なるほど、なるほど。
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他の線でも同じこと。30ヴェルファイアの例でいうと、グローブボックス裏でIG電源、助手席スライドドアカーテシ線、左ウインカー線などもまとめて取れます。
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考えてみると、信号線はだいたいどれもコンピューターにつながっているから、その付近で一網打尽にできるんだ。
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そうなんです。
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もしかして、思ったよりラク?
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ただ、こういうのは配線図がないと分からないのが問題。
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確かに。ヒントが「コンピューターにつながる線」だけでは、大量にあって、ドレがドレだか分からない。
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そこから取るためには、車両の配線図が必要です。それを読み解かないと。
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一般DIYユーザーは、そもそも自分の車両の配線図なんて持ってませんよ?
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ですので、このキット発売開始後に、車種ごとの配線情報を、コムエンタープライズHP上で公開していこうと考えているのですよ。
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ほー。純正配線の位置情報は、コムエンタープライズが教えてくれる仕組みですね。
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ハイ。どのカプラーの何番目の線につなぐのか、それが分かってしまえば、取り付け難易度がガクンと下がるので。
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なるほど、なるほど。
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配線情報を元にすると、残りは以下の場所で片付きます(↓) ※ヴェルファイアの例
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ピラー内部の線から、常時電源や、ルームランプ線(ドア連動マイナス)が取れます。
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運転席側のキックパネルを外した裏で、ロック状態検知線が取れます。
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ロック状態検知線を探せと言われた時は、どうなることかと思いましたよ……
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どの線かが分かれば簡単なことです。で、これで必要な配線は全部取れました。
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え、もう?
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ようは、配線情報があれば、取り付け作業自体はそれほど難しくはないということなんです。
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なんということでしょう。電源取り出しは、情報戦の時代になっているもようです。
グローブボックスを外すと……
コンピューターと配線が見える
グローブボックス裏だけでかなり配線作業が片付く
助手席側ピラー
狭いので、いったんカプラーを抜いてからエレクトロタップで接続。
運転席側キックパネル裏
✔ ひとくちメモ
この他、必須ではないが「パーキングブレーキ線」も取っておくと便利。エンジン始動中でもパーキングブレーキオンの状態ならば、足でスライドドアが開くようになる。パーキングブレーキ線は、30ヴェルファイアなら助手席側キックパネル裏で取れる。
スライドドア下へのセンサー取り付け
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あとは、スライドドア下に足を入れたことを検知するために、センサーの取り付けをします。
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コレは車外に付けるんですね。
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そうです。そのため、室内への配線引き込みが必要なんですが……
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上は30ヴェルファイアの例ですが、最近の車は腹下に穴があって、フタがしてあるケースが多いです。ココから、配線を室内側に引き入れます。
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なるほど。
腹下でそれらしいキャップを探しましょう。 -
センサー本体の固定は、普通の両面テープでは剥がれてしまうので、ビス留めが望ましいです。
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今回は、30ヴェルファイアを例に取り付け作業を説明しましたが……
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取り付け条件だけで見れば、トヨタ系のミニバンであればだいたいの車種が取り付け可能と思われます。
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あとは、配線情報が順次公開されていくのを待つのみですね〜。
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電気に詳しい人で、スライドドア検知線なども自分で探せるよ、というレベルの人なら、コムエンタープライズの配線情報の公開を待たずとも、取り付けは可能です。
メーカー推奨はビス留めだが、車外用の超強力両面テープなどを使う手もある。
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。勉強家。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78
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