足まわりコラム
ホイールスペーサーの厚みは、なぜ5mmが定番なのか?
ホイールスペーサーは、5mmが定番。スペーサーの厚みには、1mmから10mmまであるのに、なぜ5mmを入れる人が多いのか。実際にさまざまなスペーサーを扱うプロショップで、5mm厚がよく使われている理由を聞いた。見た目の効果も検証する。
1mm~10mmまで選べる中で、なぜ5mmのホイールスペーサーなのか?
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……う~ん。
●レポーター:イルミちゃん
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どうかしましたか?
なにか悩みでも?●アドバイザー:スパイス 佐藤研究員
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ホイールスペーサーの厚みの問題について、なんですけどね……。
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(え、悩みってそれかよ)
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なんか、5mmを入れている人が多い気がするんですよ。
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そうですね。5mm厚のホイールスペーサーが、一番よく使われているんじゃないでしょうか。
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……不思議ですね。
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いや、ぜんぜん。
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だって、スペーサーの厚みは、1mmからあるでしょう?
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1mm、2mm、3mm、5mm、8mm、10mmと、厚みのラインナップがあります。
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そんなにいろいろな厚みがあるんだから、需要も分散しても良さそうな気がするんですが。
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しかし、いろいろ考えていくと、結果として5mmに落ち着くことが多いと思います。
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ほほう。
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まず1mmのホイールスペーサーは、そうそう使わない。
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なんで?
理由は? -
それはホイールのツラが1mmしか変わらないから……ですよね?
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でも、「ツライチはミリ単位でこだわる」とかって、よく言うじゃないですか。
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まあ、そうなんだけど、本当にミリ単位でこだわる人じゃないと、1mmスペーサーの出番はないですね。
1mmや2mmクラスのホイールスペーサーを使う人達
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「1mmか2mmのホイールスペーサーを入れたい」っていうことは、入れる前からある程度、理想のツライチにはなっているんですよね。
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それなら、ホイールスペーサーなんて入れなくてもいい気がするけど。
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でもフェンダーまでのクリアランスを、カード1枚分のレベルまで持っていきたい、とかっていう人も世の中にはいますので。
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考えてみると、ホイールスペーサー無しで、そこまでツラが出てるっていうのは、スゴイですよね。
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ホイールを買い直している人も多いんですよ。
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どういうこと?
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元々履いていたホイールには、5mmのホイールスペーサーを付けてツライチにしていた、とします。
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ふむふむ。
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だったら、次にホイールを買い直すときは、スペーサーの厚みの5ミリ分だけオフセットを下げれば、同じツラが出せますよね。
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次回はオフセットを「5」下げれば、ホイールスペーサーはいらなくなる!
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ですね。
スペーサー無しで、理想のツライチになります。 -
そうやって、ホイールセッティングを煮詰めていくんですね〜。
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ところが、そういうレベルで突き詰める人は、けっきょく「でもやっぱりもう1mm出したい」と言ってくる可能性もあるんですよ。
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……ハハハ。
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そういうときは、1mm・2mmのホイールスペーサーの出番ですが、それ以外ではあまり使いません。
5mmホイールスペーサーの見た目の効果
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5mmのホイールスペーサーの見た目の効果は、世間一般からすると小さい数値ですけど、ホイールのツラ具合としてはけっこう大きいです。
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フムフム。
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ホイールスペーサーを付ける前と、付けた後で、その差が分かるのが5mmとも言えます。
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実際に、その見た目の効果を検証してみましょう。
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ホイールスペーサー無しの状態がこんな感じ(↓)だったとすると……
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5mmのホイールスペーサーで、見た目はこう変わります(↓)
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拡大して見ると、見た目にも効果があるのは分かります。
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ただ、元のホイールがもっと引っ込んでいるケースも多く、正直、「5mmでは足りない」という人も大勢いますよ。
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……まあ、分かる気がします。
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でもそうなると、8mmや10mmの厚みのホイールスペーサーか、またはワイドトレッドスペーサーという話になってきますよね。
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しかし、8mm厚のホイールスペーサーは、ハブボルトをロングハブボルトに交換するのが必須になります。
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あ~。そういう意味では「純正ハブボルトだと、5mmまで」っていう側面があるのか。
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ショップによっては5mmのホイールスペーサーでも、ハブボルト交換を推奨するところもある位ですよ。
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そうなんだ。
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一般的には5mmまでは純正ハブボルトで使う例が多いですが、慎重なユーザーさんだと「5mmでもナットが噛む量が減るのは恐いから、ロングハブボルトにしたい」と指定されるケースもあります。
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ナルホド。
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8mmとか10mmのホイールスペーサーは、問答無用でロングハブボルトが必須です。そうしないとホイールが固定できませんので。
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そこまではチョット……っていう落としどころとして、5mmのホイールスペーサーが選ばれるんだ。
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ただ、車両重量のある大型ミニバンとかで、人もたくさん載せるよっていうなら、5mmのホイールスペーサーでもハブボルトに対する負担を警戒するレベルではあります。
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ふーむ。そういうケースでは、3mmのホイールスペーサーという選択もアリかも知れません。
ホイールスペーサー無し
5mmホイールスペーサー装着後
8mmのホイールスペーサー。
✔ 8mmもの厚みのホイールスペーサーを取り付けると、ハブボルトの突出量が少なくなりすぎて、ホイールナットがほとんど噛まなくなる。 (ようするにホイールが固定できない)
DIY Laboアドバイザー:佐藤峻一
元カスタムガレージスパイス代表。足回りに強く、得意技は勝負ツライチだが、実用性重視のセッティングも高いレベルで実現。ドレスアップ全般に明るく、不思議な包容力があってDIYユーザーにも人気。
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