フロントロアアーム交換で、タイヤがフェンダーに干渉しにくくなる理由

フロントロアアーム交換は、タイヤとフェンダーの干渉を避ける効果があるが、なぜそうなるのか。ここでは実際にフロントロアアーム交換を行って、ビフォー・アフターを取材。「低車高車のハンドル全切り」の仕組みに対して、理解度が深まるレポートだ。

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  「205/35R19なら、車高が低くてもタイヤがフェンダーに干渉しにくい」の続きです。

  ●レポーター：イルミちゃん

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  車高が低くてタイヤがフェンダーに干渉する場合の対策。順番としては、まずタイヤサイズの見直しが先です。

  ●アドバイザー：J-LINE 氏家研究員

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  19インチなら、ルッチーニの205/35R19が最も当たりにくいタイヤ、ということですね。



✔ 20インチなら「20インチタイヤ比較テスト。低車高でも当たらないサイズは？」参照。

>>>リンク先で詳しく読む。

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  しかし、それを使ってもなおタイヤが干渉して、ハンドルが全開切りできないこともある。


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  （車高を少し上げればいい、というツッコミはしないでおきます）

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  この場合には、フロントロアアームの交換を考えます。

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  ……フロント ロアアーム？

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  フロントの足回りは多くの車種でストラット式が採用されていますが、下側からタイヤ＆ホイールを支えているアームがロアアームですね。



✔ 足回りの構造的なおさらいは、「ストラット式サスペンションの仕組みと、キャンバー角の動き」参照。

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  このロアアームを交換するんだ。

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  ロアアームを交換する目的については、以前に勉強しています。



✔「ロアアーム交換が必要な車と、必要ない車の違い」参照。

>>>リンク先で詳しく読む。

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  おさらいですが、目的は下の2つです。

✔ ドライブシャフトのドン突きやブーツ破け対策

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✔ ホイールのセンターバックでハンドルの切れ角をアップ

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  ハンドルが切れる・切れないの問題に関わるのは後者ですね。

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  ここでよく誤解する人がいるんですが「フロントロアアームを交換して、ホイールの位置を真ん中にする」わけではありません。

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  なんのこと？

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  ホイールの位置を、タイヤハウスの真ん中にしたい、って考える人はけっこういるんですよ。

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  ホイールはタイヤハウスの真ん中にいるものでしょ？

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  いや、そうとは限らないです。車高を落とすことで、ホイールの前後位置はズレるから。


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  前にズレるのか、後ろにズレるのかは、足回りの構造によって変わりますけど。

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  上の写真は、50プリウス後期の低車高ですが……

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  50プリウスの場合は、落としてもほぼ真ん中にホイールがいますね。

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  つまり、車種による話だ。

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  位置が大きく動く車種では、見た目を気にして、「ホイール位置をセンターに戻したい」という人が出てきますが……

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  ナルホド。

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  でも、J-LINEのフロントロアアーム交換は、「ホイール位置を真ん中に持ってくる」とは話が違うんです。

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  ほう。
  どう違うんでしょう？

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  前後位置を調整するのは確かなんですが、正確には「ハンドルの切れ角が一番大きくなるポイントに持ってくる」なんです。

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  ……それが真ん中なのでは？

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  そうとは限りません。

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  話を前回の205/35R19に戻しましょう。215/35R19に比べて、ハンドルの切れ角はアップしましたが……

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  ハンドル全開切り、とまではいきませんでした。

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  ここで、ハンドルを切ったときにタイヤがフェンダーに干渉するポイントに注目してみましょう。

このへんが当たる


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  アーチのてっぺんから、少し降りてきたところのフロント側に接触します。

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  フムフム。

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  しかし、ハンドルを反対方向に切ったときは、当たるポイントが変わります。

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  ん？

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  逆方向にハンドルを切った場合は、最初に当たるのはこの付近です。


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  そっか。
  タイヤの後ろ側がフェンダーに当たるんだ。

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  しかし、上写真の状態ではまだ余力アリの状況です。

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  右にはもっとハンドルを切れるってこと？

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  いいえ。
  切れません。

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  それはなぜ？

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  反対側の右タイヤのフロント側が、もう当たっているからです。

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  あ、そっか。
  右に切ったら、右タイヤが先に当たるんだ。

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  当然そうなりますが、これが、「もったいない状況」なのです。

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  ……もったいないって、なにが？

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  だって、タイヤのフロント側がフェンダーに接触する状況でも、タイヤのリア側にはまだマージン（隙間）があるわけですよ。



前側



後ろ側

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  ……ふむ。
  確かに隙間の量に差がある。

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  リア側には隙間が多く残っている。それなら、この隙間をフロント側に持って行けたら、もうちょっとハンドル切れるのに。

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  魔法使いじゃあるまいし、そんなことできるか!!

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  だから、この場合は、ホイール位置を後ろに下げれば、同じことです。

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  なんと!?
  それなら足回り加工屋なら、できそう？

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  これがロアアーム交換のもうひとつの狙いです。



50プリウス後期用のセンターポジションロアアーム。

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  では、次段階として、ロアアームも交換してみましょう。

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  純正アームだと、205/35R19でも、ハンドルの切れ角はこのあたりが限界でした。

純正アーム・205/35R19


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  そこでフロントロアアームを交換します。



✔ 実作業については、「足回りのアーム交換をDIYでやるのは難しい？」参照。

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  これによって、ホイールの前後位置が変わったの？

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  プリウスに関しては、J-LINEのセンターポジションロアアームで移動する量は1センチ程度です。

純正ロアアーム



J-LINEロアアーム


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  ……言われてみれば、僅かにホイール位置が下がったような。

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  この差は、ハンドルを切れば分かります。

205/35R19＋ロアアーム交換


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  あ！
  ハンドル全開切りできました。

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  そして、反対方向にも全開切りできます。

クルーン♪


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  しかし、リア側の隙間は、アーム交換前より減ったことになります。

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  リアが当たらない程度に、隙間をフロントに持っていった……。

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  そうです。前後のタイヤとフェンダーの隙間の割り振りを変えた、ということです。

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  さすが21世紀のシャコタン……。

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  今回の話と、「ホイールをタイヤハウスの真ん中に持ってくる」では、意味合いが異なります。

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  今回の50プリウス後期だと、むしろアーム交換後のホイール位置のほうが後ろにズレている。

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  そうなんです。ハンドルの切れ角を優先すると、ホイールの位置がセンターより下がることが多いです。

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  ナルホド。

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  ただし、分厚いタイヤを履いた状態でやることではないですね。それならまずタイヤサイズ変更です。

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  ルッチーニの205/35R19と、J-LINEセンターポジションロアアームは、19インチ低車高の最強タッグと言えそうです。