ヒューズ電源の選び方
ヒューズ電源選びは「形状とアンペアの適合」だけで決めるのはリスキー
ヒューズ電源の選び方と言えば「ヒューズ形状」や「アンペア数」の適合だけで語られがちだが、「ヒューズ電源を付ける」ことは「純正採用ヒューズから社外ヒューズに差し替える」ことでもある。ここで問われるのはヒューズ電源に使われている「ヒューズそのものの信頼性」。ヒューズの基礎知識を持っていれば、粗悪品のヒューズ電源を使うリスクも理解できる。
ヒューズ電源の選び方としてまず、粗悪品の存在に注意…!!
-
ということで、今回お伝えしたいのは「ヒューズ電源の選び方」の根幹に関わる重要な話。
●DIYラボ 本館:イルミちゃん
-
なんだかヒューズ電源が悪者になっていたけど、ヒューズ電源をヤメロって言ってるわけじゃないよね?
●DIYラボ別館:ユキマちゃん
-
そうではなくて「ヒューズ電源を取り付ける」=「純正機器のヒューズ自体も交換することになる」という視点が大切ですよ、ということを言いたいのデス。
-
……そうか。ヒューズ電源を付けるときって、純正ヒューズを外すもんね。
-
中には「外した純正ヒューズを流用するタイプのヒューズ電源」もありますが、基本的には「ヒューズごと入れ替える」構造のものが多いです。
-
この場合は、新たに入れた「ヒューズ電源の根元のヒューズ」が、今後の純正機器の守護神となるわけです。
-
そこで重要になるのが、ヒューズの信頼性だ。
-
目的は「後付け品のための電源取り出し」だとしても、「根元のヒューズは純正機器の保護のための存在」なのを忘れてはなりません。
-
そう言われると、確かに電源を取ることしか考えてなかったかも…。
-
しかし、素性のわからない(かもしれない)ヒューズに、その回路の命運をゆだねる恐さは知っておく必要があると思う。
-
……ヒューズの品質が低いとなにが問題なの?
-
まずは「切れるべき時に切れないヒューズ」(過電流でも溶断しない)というリスクね。
-
純正機器が壊れてしまう……。
-
あるいは「ヒューズが溶けずに、ヒューズボックスが溶けた」なんて話はネット上にはいくらでもあるよ。
-
危なっ! でもヒューズの品質が原因だとしたら、回避不能じゃないのッ!
-
そこだよね問題は。
-
10アンペアのヒューズが10アンペアで切れないなんて、詐欺だっ!
-
いやいや、その言い方もなんか違うよ? ユキマちゃんはヒューズの溶断(ようだん)特性について、おさらいしておく必要があるようね。
-
……なにソレ?
純正ヒューズを抜いて…
ヒューズごと入れ替える
ヒューズの溶断特性を初心者向きに説明すると…
-
「ヒューズの溶断特性」というのは、ヒューズにとっては最も重要な性能です。
-
……10アンペアヒューズは10アンペア超の電流で切れるっていう話じゃないの?
-
10アンペアヒューズの場合は、正確に言うと「10アンペアを超える電流が流れたときに、決められた時間の範囲内で溶断する(切れる)」ってことなんです。
-
決められた時間の範囲内……? すぐに切れるんじゃないんだ。
-
例えば定格電流の110%の電流が、100時間以上流れたら切れる……とか。
-
え……。
そんなにねばるのか? -
でももし定格電流の200%だったら、0.15~5秒以内に切れる……とか。
-
2倍の電流が流れたら、けっこうすぐ切れる……と。
-
あるいは、定格電流の600%の電流が流れたら、ほんの一瞬、0.02~0.1秒で切れる、という具合。
-
ああ、そうか。電流の大きさによって、切れるまでの時間も違うんだ。
-
そうなんです。定格電流を超えたら即切れる、ではなくて「この位オーバーしていたら、この位の時間で切れる」みたいなカンジなのです。
-
なんで、さっさと切れてくれないのかしらね?
-
そこが電気の難しいところ。スイッチを入れた瞬間だけ流れる大きな電流(※突入電流)みたいなものには、溶断しない耐久性が必要だから。
-
あ〜……そういうことか。
-
10アンペアヒューズだから、一瞬の10アンペアでもすぐに切れてね! という指令では、ばんばんヒューズが切れてしまうからね。
-
エンジンオンで、全ヒューズが吹っ飛んだら意味がない。
-
ふふ……極論を言えばそういうことね。
-
けっこう難しい仕事してたのね、ヒューズくんって……。
-
ね? 分かるでしょう? ヒューズって単純そうに見えて、「超過で即切れればいい」ってもんでもないし、「超過で切れないのもダメ」なんですよ。
-
それで、段階的にスペックが決まっているのか……。
-
それこそがヒューズの溶断特性。これはヒューズの種類によっていろいろだけど、それぞれにしっかり規格で定められています。
-
規格があるんだ。
-
自動車用ヒューズについては、日本国内ではJASO規格に細かいルールが規定されているよ。
-
それなら安心……と言いたいところだが……
-
「規格がある」ことと、それがきっちり「守られている」っていうのは別な話よね。
-
そりゃそうだ。じゃあ「規格に準拠してます!」ってパッケージに書いてあればいいのかな……いや、まてよ……
-
ユキマちゃんが粗悪品メーカーだったら、きっとこういう詭弁を使うはず。
-
……なんか微妙に親近感を感じるわ。……それが大人の世界の『準拠』なのね。
-
そっち側(ダークサイド)に立つのはヤメロ。
-
ちッ。イルミが私を悪徳業者に見立てたクセにッ!
-
……。では、ユーザーはなにを信じてヒューズを選べばいいの? って話に戻すね。
ヒューズは信頼できるメーカー製が安心。ではヒューズ電源は?
-
では結論。一番の安全策としては「信頼を買う(ブランド指名買い)」しかないと思います。
-
ふむ。ヒューズのブランドって?
-
具体的には、「PEC(太平洋精工)」のような、自動車メーカーに純正納入している一流メーカーのもの、あるいはそれらを採用しているブランドを選ぶことです。
-
「ヒューズ電源」の場合はどうするの? 「ヒューズメーカー」が「ヒューズ電源」を作っているわけではないのが普通でしょう?
-
確かに両者は似ているようで、製品ジャンルとしては全く別モノ。
-
当然ヒューズ電源のほうこそ、粗悪品を疑わないといけなくなってくるね。
-
はい。そこでは、純正品質のヒューズが採用されているかどうか、という点が重要になってくる。
-
……ちょっとエーモンに“電話取材”してみよう。
-
はい。
エーモンの中塚です。●友情出演:エーモン 中塚研究員
-
あのね、中塚研究員。いま、これこれこういう話になっているんだけど……
-
ナルホド。
それは確かに大切な話ですね! -
で……エーモンのヒューズ電源に使われているヒューズは大丈夫なんでしょうね?
-
それはもちろんです。エーモンのヒューズ電源に使用しているヒューズは、純正同等品を採用しております。
-
『エーモンのヒューズは、○○製だから安心!』とかいうネット上のウワサがあるけど、本当かしら?
-
(……ちょっ、ユキマちゃん! なにヘンなカマかけてんのよ……)
-
うーん。エーモンが採用するヒューズは一社とは限りませんので、○○製だから安心という言い方はできませんが、当然ながら規格に準拠した純正同等品しか使いません。
-
……とはいえ最近はネットで激安品も多く出回る世の中でしょ。エーモンだって、ちょっとは品質に妥協したりとかはしないのぉ?
-
(……誘導尋問?)
-
しません。「安全性と安心」は設計の大前提です。
-
でもサ、口だけだったら、悪徳メーカーだって同じことが言えるじゃないの?
-
……。
-
参考までにお伝えすると、エーモンのヒューズ電源って、例えば平型ヒューズ電源などを例にすれば、発売から30年以上が経過しているんです。
-
ほおお……。そんなにロングセラーだったのか!
-
その間、多くのお客様にご使用頂いてきた実績があります。その点もぜひ評価のひとつに加えて頂きたいです。
-
確かに。へんなものだったら、業界で30年以上も支持され続けることはできませんね。「歴史」も重要な判断材料と言えそうです。
ヒューズ電源を買うときの【適合品】の選び方については「ヒューズ電源の種類と選び方」を見てね
ヒューズから電源取り出しするときは、検電テスターだけで判断するのではなく「よりリスクの低いヒューズから取り出す」視点が重要。そのあたりはDIYラボ〈動画部〉がYouTubeで解説しています。
関連記事
- ヒューズ電源の種類と選び方
- ヒューズ電源の正しい付け方(取り出し)。向きに注意!!
- ヒューズ電源の「向き」は「逆」のほうがいいのでは?論への回答
- ヒューズボックスの「空きスロット」から電源取り出しするのはNG
- 電源を取ってはいけないヒューズと、取ってもいいヒューズの違い
- 常時電源をヒューズから取り出す方法
- 常時電源を取るのに適したヒューズはどれ?
- ACC電源をヒューズから取り出す方法
- ACC電源を取るのに適したヒューズはどれ?
- ACC電源とIG電源(イグニッション)はなにが違う?
- IG電源(イグニッション電源)を取るのに適したヒューズはどれ?
- ヒューズボックスからの電源取り出しでヒューズを飛ばす例
- ヒューズから電源を取るのと、配線から電源を取るのは、どう違う?
- エーモンが「マイクロ2ヒューズ」を発売。ところでマイクロ2ヒューズとは?
- マイクロ2ヒューズ電源が登場したが、今のところ業務用…?
- 車のヒューズが切れた! 正しい交換方法は?
- 車のヒューズの種類。平型、ミニ平型、低背の違い
- 車のヒューズが切れる原因と、再発防止策
- 後付けヒューズの付け方╱かませ方
- ヒューズホルダーの種類と選び方
ニュース&コラムの記事一覧へ