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マット塗装（ツヤ消し）の種類とその違い。どの塗り方が理想なのか？

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マット塗装（ツヤ消し塗装）の塗り方には種類がある。例えばマットブラック塗装でも「クリアを吹かないタイプ」と「クリアを吹くタイプ」がある。またクリアを吹くマット塗装にも、さらにバリエーションあり。それぞれの違いは？ 気になる塗装料金の差は？

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  「クリアを吹かないマット塗装（ツヤ消し塗装）のデメリット」の続き。

  ●レポーター：イルミちゃん

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  今日はいくつかあるマット塗装の種類と、その違いについて解説します。

  ●アドバイザー：ほんだ塗装 本多研究員

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  色の違いではなくて、同じマットブラックの塗り方にも種類があるよ～っていう話ですね。

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  まず基本的な塗り方としては、クリアを吹かないタイプのマット塗装があります。

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  フムフム。

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  ほんだ塗装のマットブラックの塗り方を例にすると、「黒」80％に対して「フラットベース」というツヤ消し剤を20％混ぜて塗ったりします。

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  ツヤ消し剤なんてものも使うんだ？

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  そうです。ツヤが引けるように入れています。



ツヤ消し剤（フラットベース）

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  クリアを吹かなければツヤは出ないのかと思ったけど。

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  それだけではなく、黒の塗料自体にもツヤ消し剤を混ぜて、よりマット感を出しています。


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  これが〈ほんだ塗装〉でやっているマットブラック塗装の塗り方です。ウチでは特に指定されない限り、いつもこの方式です。

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  なるほど。
  塗料にツヤ消し剤を入れる。クリアは吹かない。

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  しかし、これとは別のやり方で「クリアの中にフラットベース（ツヤ消し剤）を入れる」塗り方もあるんです。



通常のクリア塗料と、その硬化剤。これにさきほどのツヤ消し剤を混ぜる。

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  あれ？ ……てことは、つまりクリアを吹くってこと？

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  そうです。マットブラックを例にすると黒を吹いた上からクリアを吹くんだけど、そのクリアにツヤ消し剤が入っている。

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  クリアのツヤを消すんだ。

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  このときツヤ消し剤を20％入れたり30％入れたりして、ツヤを引かせる度合いをコントロールします。

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  たくさん入れれば、クリアを吹きつつもツヤ消しに近づけるわけね。

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  理屈としてはそうなんですが……

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  その方法なら、前回教わった「クリアを吹かないデメリット」を回避できる！

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  しかし、実際はそう単純ではないのです。

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  む…？

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  純粋なクリアは「透明」であるのに対して、フラットベースっていうのは濁った色なんですよ。

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  濁っている？
  透明ではなくなると？

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  カンタンに言えば、透明のクリアが濁ることによってツヤを引かせたように見せる効果です。

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  むむ。
  そうなんだ。

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  「純粋なツヤ消し」とは違います。ツヤがない、という意味ではマットといえばマットなんだけど、ちょっとくすんで見えるというか……

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  フーム。

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  少なくとも僕が思っている「マットカラー」ではないし、一般的な人が想像するツヤ消しブラックの缶スプレーで塗装したときのマットブラックとも、違うってことです。

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  ツヤがない塗装といっても、見え方はいろいろあるのね。

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  だから基本的にほんだ塗装では「クリアの中にフラットベースを混ぜるマット塗装」は、採用していません。

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  クリアを吹いた上でマットにできるなら、理想的だと思ったんだけどな。

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  という中で、実はもうひとつ手があります。

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  クリアの中にツヤ消し剤を混ぜる方法もありますが、そもそもツヤ消しクリアの塗料もあるんです。



ツヤ消しクリア（マットクリア）とその硬化剤。

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  え？ ツヤ消しクリアなんてあるのかッ!?

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  あるんですよ。これならツヤ消し剤を混ぜる必要もありません。

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  クリアが濁る問題もない？

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  そうなんです。

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  なんと。ツヤ消しにもできて、クリアで塗装面の保護もできるじゃないか。

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  そういうことですね。

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  それならデメリットがない！ 一番イイ、マット塗装の方法なのではないでしょうか？

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  デメリットはありますよ。

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  う…。
  やっぱり…？

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  このマットクリアの値段はとにかく高価なのです。これが大きなデメリット。

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  ……そうなのね。
  世の中とはそういうものです。

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  〈ほんだ塗装〉では通常のクリアもそこそこお高いクラスのものを使っていますが、さらにその倍ぐらいします。

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  ウーム……。

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  しかも、塗り方も難しいです。

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  普通のクリアと塗り方も違う？

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  違いますね。普通のクリアは、塗り重ねていくことでツヤを出す方向性ですが……

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  あー、そうでした。重ね塗りでツヤを出すコツなども、以前に教わりました。

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  しかしツヤ消しクリアは、何回も重ね塗りしてはいけないのです。2回で決めないといけません。

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  なんでそんな制限があるんだろう？

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  重ね塗りしてしまったら、やはりそれなりにツヤが出てしまうので、制限があるんです。

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  そういうことか。

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  何にせよ普通のマット塗装に比べると、塗装代が高くつくコースになります。

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  えーっと、その高級なツヤ消しクリアを使ってマット塗装を頼んだら、どのくらい料金が上がるのでしょうか？

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  例えば、シンプルな「クリア無しのマットブラック」なら2500～3000円程度で塗れるエンブレムがあったとしましょう。



実際の価格はエンブレムのサイズや構造によっても変わる。

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  それに対して「ツヤ消しクリアを使ったマットブラック塗装」だとしたら5000～6000円かかるイメージです。

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  塗装料金が2倍くらいになってしまう。

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  大きいパーツで使うとなったら、いよいよしんどい面があるかと…。

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  ボンネットとかルーフで使うのは……

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  ですので、普段はあまりこの塗料は使わないです。特にパーツの持ち込み塗装では「できるだけ安く塗ってほしい」要望が大半ですから、出番がないというか。

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  それでもお店としては、お高いツヤ消しクリアも用意しておくんですね。

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  それはたまに、マニアックなDIYラボ読者の方から「3分艶」で塗ってくれませんか、と言われたりもするから導入はしてあります。

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  あれ？ ツヤ消しクリアを使ったら、3分艶にならないのでは？

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  ツヤをコントロールするためにむしろ、通常のクリアを混ぜて使うんですよ。

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  ほほう。

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  仮に「3分艶」にしたい場合は、3割だけ通常のクリアを混ぜて使う、というイメージです。

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  なるほどねぇ。

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  完全にツヤ消しにする純粋なマット塗装……よくあるマットブラック塗装などで使うことは、現実的にはほとんどありませんね。ただし、例外があります。