バンパー取り外しの前にやっておくと良いこと

バンパーを取り外す前に、養生テープを貼るよりもさらに前に、ぜひともやっておくべきことがある。バンパー外しを日常的に行っているプロの加工者に聞いた、作業の経験上の重要な話。

• 

  フロントバンパーにしろリアバンパーにしろ、車から取り外す前にやっておいたほうがいいことがあります。

  ●アドバイザー：球屋 森田研究員

• 

  それって……養生のことですか？

  ●DIYラボ：イルミちゃん

• 

  それはもちろん当然なんですが、今日したい話は、それ以前の問題です。

• 

  ……と言いますと？

• 

  それは、バンパーのチリ合わせの状態を確認しておく、ということです。

• 

  チリ？

• 

  チリ合わせっていうのは、車のボディを構成するパーツ同士の段差を合わせることですが……

• 

  フムフム。

• 

  フロントバンパー取り外し前だとすれば、ヘッドライトやフェンダーとのチリに注目します。


• 

  境界線のチリ（段差）とクリアランス（隙間）の具合を、よく見ておきましょう。

• 

  バンパーの取り外し前に、そんなの見てどうするの？

• 

  自分の車のバンパー周りのチリ合わせなんて、見たことないと思うんですよ。

• 

  ないでしょうね。

• 

  でも、いざ至近距離で観察してみると分かりますが、純正の状態でもチリ合わせが悪い車種ってあるんですよ。

• 

  ……それ、見てどう分かるんですか!?

• 

  ズレているとか、浮いているとか、ヘッドライトとの隙間がココだけやけに空いているな、とか。

• 

  むむ。
  それ、車ごとの個体差ってこと？

• 

  お客さんの車で何台も同じ車種を見てきた経験則で言わせてもらうと、個体差というより、車種ごとの傾向を感じますね。

• 

  そうなんだ。

• 

  毎回、純正状態でもかなりのズレが見られる車種もありましたから。

• 

  でもそれって、純正でそうなんだから、仕方ないよね？

• 

  そうなんですよ。だからこそ、バンパー取り外しの前に見て、知っておくべきなんです。

• 

  DIYでバンパーを取り外して、何かしらの作業を終えて、またバンパーを付け直したときのことを想像してみてください。

• 

  フムフム。

• 

  ちゃんと付いたかどうか、ヘッドライトやボンネットやフェンダーとのチリ合わせも、その段階では確認するはず。

• 

  その場面では誰だってよく見るでしょうね。

• 

  そこで初めて気づくことになります。「あれ!? 左のヘッドライト下のほうが、隙間が大きくない？」とか。

• 

  ……むむぅ。
  そういうことか。

• 

  取り付け直して、はじめて気づいたとしたら「自分の付け方が悪かったのかな」と考えてしまうと思うんですよ。

• 

  ……どこかしらのツメがしっかり噛んでないのかな？

• 

  そうそう。しかし、ちゃんと取り付けできていても、この車のチリは最初からそんなものだ……という場合もある。

• 

  なるほどね…。

• 

  その場合は、その車自体のクセみたいなものなので、何回やり直しても結果は同じです。

• 

  諦めるしかない。

• 

  でも、原因が分からないまま諦めるのって、精神衛生上良くないでしょ？

• 

  ……眠れなくなりそう。

• 

  でも、純正でそういうものだ、と知っていれば納得できますので。

• 

  だからスタート地点を確認しておくわけね。

• 

  純正状態が分かっていれば、取り付け直したときに「正常」なのか「異常」なのかの判断もつきます。

• 

  地味だけど重要な話だなァ。

• 

  特に「初めて自分の車のバンパーを取り外す」ときは、外す前の状況をよく見ておきましょう。左右均等だったのかも含めて。

• 

  心配症の人は、スマホでカシャカシャっと写真を撮っておくのもいいかも知れませんね。

• 

  僕も昔は気にしてませんでしたけど、いろいろ経験して、今では最初にチリを見るクセがつくようになりました。

• 

  プロの仕事は、バンパーを取り外す前から始まっている、ということだ。