通好みの電装カスタム
スライドドアの予約ロック機能をDIYで後付けする方法
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スライドドアをより便利に使いやすくする「予約ロック機能」の後付け方法。登場する配線の数は意外と少なめ(?)で、DIYで取り付けするのも十分に現実的。つなぐ配線を、1本ずつひも解く。
電動スライドドア1枚あたりに予約ロックキット1個を用意する
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この記事は、「スライドドアの予約ロック機能は後付けできる」の続編です。
●レポーター:イルミちゃん
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ここからは、取り付け方法をわかりやすくガイドしていきます。
●アドバイザー:CEP 服部研究員
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まず、使うアイテムはこちら。
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予約ロックキットは、ラインナップは1種類のみなんでしょうか?
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そうです。
迷う要素はないです。 -
分かりやすい♪
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ただ、ひとつのスライドドアに対して1個必要になりますので、例えば助手席側だけでなく運転席側の電動スライドドアにも付けたいよ、ということであれば2個必要です。
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2個セット販売は、ないんですね?
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そうですね。というのも、片側のみが電動スライドドアの車も多いので、製品は1個単位で販売しています。
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パワーバックドアにも使える?
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使えますが、バックドアの場合は、例えばハリアーやレクサス系のSUV(NXやRXなど)は、最初から「予約ロック機能」が付いているんですよ。
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あ〜、なるほど。
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パワー(電動)バックドア=予約ロック機能付き、みたいになっているので、そういう意味で適合は少ないです。
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では、付ける意味がありそうな車種は……?
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20アルファード&ヴェルファイアのパワーバックドアなどですね。
予約ロックキット
コムエンタープライズの予約ロックキット
予約ロックキット取り付けに必要な配線は?
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予約ロックキットの取り付けの工程に入ります。
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例によってユニット本体から出ている線を、車両側の電源や信号線につないでいく作業ですね。
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登場する配線の種類は、以下の通りです。
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これを、実際にユニットから出ている配線で見るとこうなります。
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常時電源、アース、ACC電源あたりは、いつものお決まり配線と言えますね。
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そうですね。今回の予約ロックキットは、そんなに大電流は流れない製品なので、主電源(常時電源)も、ヒューズボックスからヒューズ電源で取ってもOK(※)です。
※5アンペア取り出しヒューズ電源でも問題ない、という意味。
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ヒューズから電源を取り出す方法については、下記記事が参考になりますよ。
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ここまではまあ、電装品取り付けとしては普通の話ですね。
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次のドアカーテシ線は、スライドドアが閉まったときに押される、スイッチの裏から取れるんですが……
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ただ、スライドドアの場合は、車両の後方あるいは上部にスイッチがあったりして、そこから取り出して前まで延長するのは手間がかかります。
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……取れたはいいけど、取り回しが面倒っていう。
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そうなんです。というわけで、この線はBCM(※)付近から取ることを推奨しています。
※ボディ・コントロール・モジュールの略で、制御コンピューターの一種類。
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ただ、BCM付近には配線がたくさんあります。情報がないと、どれがドアカーテシ線かは分かりません。
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そうですね。そこで、「予約ロックキット」が適合するパワースライドドア車については、BCM付近からドアカーテシ線を取るための配線情報を随時公開していきます。
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セキュリティ取り付けで教わった方法(↓)と同じか〜。
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なお今回の予約ロックキットの場合は、ドアカーテシ線は単なる信号取り出しではなく、切って、その双方にユニット側の配線をつなぐ割り込みパターンです。
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つまり、エレクトロタップでつなぐんじゃなくて……
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カットしたのち、双方に接続コネクターなどの端子を付けて、ユニット側の2本の線とつなぐんですよ。
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このとき切断して2本になったドアカーテシ線の、どっちがBCM本体側で、どっちがドアカーテシスイッチ側なのかが分かっていないといけません。カーテシスイッチ側に青白、BCM本体側に緑白をつなぐ作業ですので。
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BCMの根元で切れば、分かりやすいけど……
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途中だとよく分からない。ですので、そのあたりも含めて、コムエンタープライズHPの製品ページで車種別に配線情報を公開していく予定です。
✔ 常時電源
✔ アース
✔ ACC電源またはIG電源
✔ ドアカーテシ線
✔ スライドドアクローズ信号線
※ホンダ車は黄色は未使用で、ピンクを「スライドドアクローズ信号線」につなぐ。ホンダ車はパルス制御が入っているので特殊なのだ。
ヒューズからの電源取り出し|参照記事
一般的なドアカーテシ線の取り方は、「ドア連動線の取り方」参照。
80ヴォクシー前期のBCM(グローブボックス裏)
✔ ひとくちメモ
コムエンタープライズが公開する配線情報から、ドアカーテシ線の位置情報を調べる手順は、「カーセキュリティ取り付けに必須・ドアカーテシ線をBCM付近で探す」でも詳しく紹介している。
※上記記事はセキュリティ取り付け用に紹介したものだが、やることは同じ。
接続コネクターってなに? という人は「接続コネクターの正しい使い方と、付け方」参照。
スライドドアクローズ信号線とは? どこから取る?
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最後にスライドドアクローズ信号線ですが、これはあまり馴染みのない線ですね。
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そうですね。予約ロックキットの取り付けでは唯一、この線だけがマニアックな存在です。
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どういう線なんでしょう?
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正確に言うと、スライドドアをクローズする(閉める)だけでなく、オープン(開ける)操作をしたときにも信号が流れている線のことです。
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つまりこれは正確には、オープン&クローズ信号線ということですね。
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ハイ。今回の「予約ロックキット」はスライドドアを閉め始めたことを検知するために取り出すので、クローズ信号線と表現していますけれど。
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なるほど。
…で、どこから取るのでしょう? -
スライドドアの、ステップを外した内部を通っています。
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どの配線なのかの情報があれば、取ること自体はカンタンな線です。
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では、配線の位置情報は、コムエンタープライズが公開していくってことでしょうか?
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そうですね。「ドアカーテシ線」と「スライドドアクローズ線」の2種類は、適合車種の配線情報を公開していく予定です。
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というわけで、少々マニアックな線も出てきますが、内装のバラし作業などはほとんどないです。
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BCM付近から、ドアカーテシ線を取るとして……
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グローブボックス外しと、スライドドアのステップを外す位の分解作業のみです。
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次ページでは80ヴォクシー(前期)を例に、実際の取り付け工程を紹介します。
スライドドアクローズ信号線はマイナスコントロール線であることが多く、スライドドアが閉まっているときはプラス線として反応。スライドドアのハンドルを引いたり、開閉スイッチを押すと、そのときだけ0V(マイナス)になる、という挙動を示す車種が多い。
✔ ひとくちメモ
●「スライドドア開閉スイッチを押したときに、0V(マイナス)になる連動線」を、テスターなどで探せる人は、配線情報がなくても取り付けできる。
●しかし「全車種のパワースライドドア開閉線が、マイナスコントロール線であるとは断言できない」ので、間違いないのはコムエンタープライズの配線情報公開を待って、その通りに付ける方法だ。
DIY Laboアドバイザー:服部有亨
キーレス、オートライトをはじめとする車の電装カスタマイズで有名なコムエンタープライズ(CEP)で製品開発を担当。車の電装、プログラミングの双方に長けている。配線図大好き。●コムエンタープライズ TEL 079-230-2323 住所:兵庫県姫路市大津区天神町2-78