ヘッドライトやテール加工後の防水処理方法
加工したヘッドライトやテールランプの防水対策について。ちなみに殻割りしたライトを殻閉じする際の防水シーリングの話ではなく、後から足したアクリルLEDやイカリング配線の出口部分のこと。配線をライトの外に出すために開けた穴は、当然水の侵入経路になりうる。ココはしっかり防水したい!
配線を通した穴はブチルゴムで塞ぐ
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今日は加工したヘッドライトやテールランプの防水処理について教わります。
●レポーター:イルミちゃん
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殻割りしたヘッドライトを殻閉じするときのシーリング方法については、以前解説した通りですが……、
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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しかし、加工ライトの防水対策はこれだけでは不十分です。
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ヘッドライトをしっかり閉じたとしても水が入るってことですか?
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そうです。水の浸入経路はシーリング部だけではありませんので。
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ムムム。
防水の話こそ、重たい感じがしますね。 -
例として、ここに実際に球屋で加工したヘッドライトがあります。
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加工メニューとしてはアクリル加工(2色発光)、SEリング(アクリル製イカリング)、インナーブラックペイントなんですが……
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どれも球屋の人気メニューですね。
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加工前と加工後の大きな違いとして、後から足したアクリルLEDやイカリングの配線を、裏側から出さないといけない。
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今回の例だと、アクリル加工部に仕込んだ2色分のLED配線(4本)と、SEリングの配線(2本)を合わせて合計6本の配線を外に出さないといけないわけです。
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この線って、どうやってハウジングの裏側に出すんですか?
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もともと何もない場所に、穴を開けて配線を通します。そして裏側に出す。
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そっか。
そこにも防水対策が必要になる。 -
そういうことですね。配線に合わせて、無駄なく細い穴を開けるのは当然のこととしても……
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穴を開けるんだから、そのままでは水が入るんだ。
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そうです。
そこでブチルゴムを使って防水処理します。 -
ブチルゴム? 一般DIYユーザーにはあまり馴染みがなさそうな材料が出てきましたね。
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こういう場面だとシリコンコーキングなどを使いそうなイメージですが、ハウジングの素材に対してコーキングを使ってもくっつかないんです。
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え!?
コーキングだとはがれる? それは大変。 -
コーキングは、別の場面では僕らもよく使います。ただ、ハウジングに対して使うのはNGです。素材同士の相性の問題ですね。
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いっぱい盛ってもダメですか?
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どれだけ盛っても接触面は一番下だけ。くっつかない素材相手なら、すぐ取れる。
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なるほどぉ。
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というわけで、配線を外に出したポイントをブチルゴムで塞ぐんです。
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それと、配線が根元でバラバラ〜っとなっている状態だと水が入りやすいので、収縮チューブを使ってぎゅっと圧縮してまとめておきます。
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そのうえで、背面側からブチルゴムを盛るんですね。
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そうですね。
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ところで、このブチルゴムって後から取れるんでしょうか?
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取ろうと思えば取れますよ。逆に言うと、取ろうとしないと取れないので、防水対策になる。
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カンタンに、ポロリンと取れてしまってもダメですもんね。
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ブチルゴムは熱でドロドロになることもない。耐熱性もあります。
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ライト加工経験豊富なプロがブチル推しな理由は、いろいろとあるんですね〜。納得。
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ベースに使うヘッドライトが中古で、バルブのパッキングも劣化していそうだったら、バルブ挿入口もブチルゴムで埋めるとなおいいですね。
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配線を出すときの出し方にも、ポイントがあります。
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と言いますと?
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上向きに穴を開けて出すことはしません。当然ですが、上に穴が向いているほうが水が入りやすいので。
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あ〜、言われてみれば。当然そうなりますね。
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できるだけ下向きに配線を出すのが基本です。
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光モノから近い場所からすぐ裏に出そうとか、そういう考え方ではない。
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水が入りにくい場所から配線を出せるように、そこまで配線を持ってきてから出す、というやり方ですね。どこがいいかはライト形状によっていろいろです。
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あの〜、下から出すほうが有利なら、ヘッドライト底に穴開けて出せばいいのでは?
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ヘッドライト下の車体側に配線を逃がせるスペースがあることを確認できるなら、それでもいいですが、取り付け時に断線させる可能性なども考えるとリスクもある。
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そっか。
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僕ら加工屋の場合は、最終的なヘッドライト取り付けをお客さん側で行うケースも多いので、取り付け時に支障が出そうな出し方はしないんです。
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そういうことかー。配線の出し方ひとつに、プロはいろいろこだわってますね〜!
レンズとハウジングの境界はシーリング剤で防水する
殻割りしたヘッドライトの閉じ方については「プロの防水シーリング方法」を参照。
アクリル加工したヘッドライト
加工後のヘッドライト裏側
アクリルやイカリングの配線が出てくる
ブニョブニョしたブチルゴム
LEDの配線穴をブチルで塞ぐ
こっちはイカリングの配線
バルブ挿入口の防水処理
詳しいやり方は「ヘッドライトやフォグの曇りの原因は、バルブ挿入口が怪しい!」を参照。
そもそも水が入りにくい向きで配線を出す
下方向に穴を開けて通す
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。アクリルづかいを筆頭に、最先端のライト加工技の探求者。実際にお客さんの10台中9台はアクリル加工をする、というほどのエキスパートだ。派手さよりも「完成度と質感」を重視。デザイン性の高さでも全国屈指。
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