>>> バネ交換ガイド(第8回)
バネレートで車高はどう変化する(上がる・下がる)のか実験した
バネレートを高く(固く)すれば車高は上がり、低くすれば下がる。しかし理屈がわかっていても、「どれくらい車高が変化するのか?」具体的にイメージするのは難しい。そこで実験。自由長170ミリのバネで、バネレートだけを5K・8K・10Kと変更。実際に車高の変化を検証した。
バネレートで変化する車高は、具体的にどのくらい?
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今回は車高調のバネ交換の実験シリーズ、その2です。
●レポーター:イルミちゃん
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同じバネレートのままで自由長の短いバネに交換すれば、素直に車高が下がることは以前に実験しました。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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しかし、上の実験のときにも少し触れましたが、バネレート変更によっても車高が変化します。
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だからこそ「車高を下げるのが目的なら、同じバネレートのままで」が、Jライン・氏家研究員の提案ですね。
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車高が目的ならそれがいいと思います。でも、車高が目的ではないバネ交換もありますよね。
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乗り心地を改善する目的で、バネレートを下げる例も上げる例もある、というのは以下の記事(↓)の通りです。
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こういうケースでは、車高が目的ではない。でもバネレート変更で、結果的に車高は下がる(上がる)。
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では、どのくらい、車高が変わるのか?
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そうなんですよね~。そこをみんな気にしますが、問い合わせで聞かれても答えようがなくて、困るところです。
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では、軸重が分かれば計算は可能なのか???
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バネの専門家はともかく、一般ユーザーが計算で導き出すのは難しい話ですよね。
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そこで、DIYラボでは〈論より証拠〉。実際にバネ交換実験でお見せします。
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バネレートでこんなに車高が変わってしまうんだ~、というのが感覚的によく分かると思いますよ。
バネ交換ガイド連載
第6回 | 車高調が硬い! バネレートを下げたら、乗り心地は良くなるの? |
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第7回 | 底付きして乗り心地が悪い! バネレートを上げたら防げる? |
✔ バネレートとは「そのバネを1mm縮めるのに何キロの重さが必要か」という数値なので、車の重量から計算することが可能なのだが、車重を単に4輪で割り算してもダメ。
✔ 車の前後重量バランスは均等ではないため、「軸重」を元に計算する必要があるのだ。
同じ自由長で、バネレートをどんどん上げてみる
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ここでは、自由長は170mmで統一。バネレートだけを変更して、どのように車高が変化するかを見てみます。
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スタート地点のバネレートは、5K(※Kgf/mmの略)ですよ。一般的な車高調のデフォルトイメージですね。
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前回の実験同様、このバネを付けている時点での車高を、リアフェンダーのアーチ高で測定しておきます。
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モデル車も、前回と同じ30プリウスです。
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フェンダーアーチの高さ(厳密にいうとシーラー部分の下ツラ)を測定すると、573ミリ。
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Jラインデモカーなのでスタート地点が低車高ですが、注目すべきは「変化する量」です。
バネレート5K・自由長170ミリのバネ
バネレート5K・自由長170ミリ
バネレートだけを3Kアップさせてみると……
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ようするに3K分のバネレートアップで、どのくらい車高が上がるのか? という話なのですが……
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8Kのバネに交換すると、アーチ高が596ミリまで上がりました。
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つまり、3K分のバネレートアップで約23ミリ上がったことになりますね。
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この結果は車種ごとの軸重によって変わるのですが、同じような車重(軸重)の車なら、似たような結果になる、とも言えます。
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バネレートアップが目的だったとするなら、この分は、車高調整で下げないといけないんですね。
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今回は上げる方向で掲載していますが……これ、仮に8K→5Kへのバネ交換だったら、20ミリ強の車高ダウンになりますね。
同じ170mmで、バネレートが8Kのバネを用意しました
バネレート8K・自由長170ミリのバネ
バネレート8K・自由長170ミリ
10Kまでバネレートを上げてみる
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次は10Kのバネに交換してみましょう。
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どんどんバネが太くなっていくので、いかにも車高が上がりそうですね。
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8Kから10Kのバネに交換すると……
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フェンダーアーチ高が、603ミリまで上がりました。
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8Kのバネと比較すると、バネレート2K分のアップで、7ミリ位車高が上がりましたね。
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最初の5K状態から比較すると、バネレートを5Kアップさせたことで、30ミリ車高が上がった計算ですね。
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このように、バネレートによっても車高はけっこう変化(上がる、または下がる)するのです。
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車高調のバネレートを変更するときは、この車高の変化も、頭に入れておくようにしましょう。
バネレート10K・自由長170ミリのバネ
バネレート10K・自由長170ミリ
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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