ボルトサイズ「M」表記のよくある誤解
意外とありがちな、ボルトサイズの誤解。例えば17ミリのスパナやソケットレンチでゆるめたネジは、17ミリではない。ココで一瞬『え?』と思う人はけっこう多め。ボルトサイズの太さ表記について、おさらいしておこう。
アタマのサイズと、ボルトの太さを混同しがち!?
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前回はキャンバーボルトの「サイズ」の選び方を解説しましたが、今日はその補足。
●レポーター:イルミちゃん
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ちょっと初心者向きに、ボルトサイズの基本について解説しておきます。
●アドバイザー:J-LINE 氏家研究員
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キャンバーボルトに限らない、ボルトの基本ですね。
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そうです。と言うのも、キャンバーボルトのサイズについて、ユーザーさんとやり取りしていると、意外と誤解している人が多いので。
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……と言いますと?
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よくボルトの表記に「M」っていうのが出てくるじゃないですか。
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「M12」とか、「M14」とか、「M16」とか……ですね。
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Mとはメートルネジのことで、数字は太さ……つまりは「12ミリ」「14ミリ」「16ミリ」の太さのボルトですよ、という意味ですが……、
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そのまんまじゃないですか?
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でも一般的な車のボルトでいうと、M12(12ミリ)のボルトっていうのは、アタマの部分は17ミリあるんですよ。
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ん?
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「ボルトの太さ」というと、一般ユーザーさんは「アタマの太さ」のことを言う人が多いんです。
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あー!
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スパナやソケットレンチを使ってゆるめるときは、17ミリサイズを使った。だから17ミリの太さのネジだ、と考えてしまう人が意外と多い。
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言われてみればそうかも。
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普段のネジの脱着の話なら、べつにそれで不都合はないんですけどね。
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17ミリのネジ(アタマ)だから17ミリのレンチを使う、で問題ないですもんね。
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でも「キャンバーボルトを購入しようとしている」場合には、不都合が生じる。ボルトの太さとは、本来はボルトの軸(胴体部分)の太さのことを言うんですよ。
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例えば「M8」は、あくまでも胴体の太さが8ミリってことですね。
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そうなんです。ところが、アタマは12ミリだったりするから……、
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確かに紛らわしい。
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アタマが12ミリなのか、太さが12ミリなのか。電話やメールで、話がゴッチャになるケースが多々あるんです。
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なるほどぉ。
アタマのサイズで、太さが予想できるケース
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例えばJ-LINEのキャンバーボルトは、ナックルアームの固定に使われている純正ボルトのサイズを基準にして選びます。
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通常のボルトの規格は、M12、M14、M16という刻み。でもトヨタ車のナックルアームの固定ボルトには、M15とか、M14.9といった特殊サイズが出てくるので、これもちょっと紛らわしい。
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まあ、でも外したボルトサイズに合わせて選べば間違いはない。
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そうなんですけど、これを「アタマのサイズ」で誤解する人が多いわけです。例えば、17ミリのレンチで外したから、M17適合のキャンバーボルトはどれ? …と。
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M17なんて、J-LINEのサイズラインナップ表に出ていませんね?
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……という問い合わせが頻繁に来るわけです。で、ナックルアームの場合はアタマ17ミリのボルトは、M12であるケースがほとんど。
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上の表(↑)は、あくまでもナックルアームの一般的な固定ボルトの話であって、異なるパターンも出てきます。
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つまり……ボルトがM12で、アタマの幅が17ミリではないとか?
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そうです。M12だけど、アタマが19ミリとか21ミリだったり。そういうボルトもあります。
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そうなんだ。
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ホイールナットだとアタマが21ミリで、M12のボルトだったりしますよね。
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いろいろなパターンがあるわけですね。アタマの幅で全て判断がつくわけではない。
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ただ、いずれにしても、M12とかM14って書いてあるときは、ボルトの胴体部分の太さを指していることは頭に入れておきましょう。
█ ボルトの太さとアタマの幅の関係
ボルト太さ | アタマの幅(HEX) |
---|---|
M12 | 17ミリ |
M14 | 19ミリ |
M16 | 22ミリ |
※あくまでも国産車のナックルアームとショックを接合するボルトでの関連性。用途が違えばまた別の規格となる点に注意。
DIY Laboアドバイザー:氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE(Jライン)。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所:宮城県多賀城市町前1-1-13
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