新型80ハリアーのヘッドライトを加工者目線でレビュー
新型80ハリアーのヘッドライトを、LED加工のプロがチェック。まず注目ポイントはデイライトと言うことだが、それはなぜか。またシーケンシャルウインカーではなくなっているが、80ハリアーのシーケンシャルウインカー加工は可能なのか?
新型80ハリアーのヘッドライトで、まず注目すべきはデイライト
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さて、今年一番注目の車種といえば、新型80ハリアーという人が多そうですが……
●DIYラボ本館:イルミちゃん
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球屋もデモカーとして購入しまして、納車されてきましたよ。
●アドバイザー:球屋 森田研究員
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それではさっそくLED加工のプロという目線で、ヘッドライトをはじめとする灯火類をチェックしてもらおうと思います。
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新型ハリアーのヘッドライトは2種類ありますが、「S」「G」「Z」と大きくは三段階に分かれたグレード構成の中で、G以上は上位ヘッドライトが標準装備されることになります。
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今回レビューするのも上位ヘッドライトのほうです。
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新型ハリアーのヘッドライトは素直にカッコいいと思いますねぇ。完成形みたいな感じになっています。
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ふむ。
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まあ、デザインは好みなのでおいておくとしても、長年僕らが後から手をかけてきた部分も含めて、全部入りという感じなんですよ。
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……そう言いますが、新型の80ハリアーはシーケンシャルウインカーではありませんよ?
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これはコストの問題で妥協したというより、シーケンシャルウインカーはやめた、というふうに受け止めています。
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ほう。
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ハリアーはトヨタ車の中でも人気の主力車種ですからね。ここで採用しなかったからには、今後のトヨタ車では、シーケンシャルウインカーは終わらせていくのかな、という気がします。
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ムムム……。そう来るか。
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C-HR後期でも、ヘッドライトについてはシーケンシャルウインカーがなくなったのと同じですね。
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シーケンシャルウインカーは採用しないいっぽうで「デイライトとウインカーが兼用になったライン」は、C-HR後期と同じです。
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あ、そういえば! これが新型トヨタ車のヘッドライトの方向性なんだ。
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そして新型の80ハリアーは、デイライトがメチャメチャ明るい。
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ほう。
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これは最近のトヨタの他車種とくらべても、明らかに明るくなっています。
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実際に見てみましょう。まずスモール点灯時は2本ラインが減光点灯しています。
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ヘッドライトが「オート」の状態だと、昼間はこのラインがデイライト点灯します。
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正面に立つと眩しいくらい。
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僕らが「強発光デイライト」と称して加工で実現していたのと、同じような明るさになっています。
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最初から強発光デイライト。
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そうなんです。
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これはつまり、自動車メーカーが本格的に法規上のマックスの明るさに近づけてきているという流れか。
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これまでは、国内仕様では明るさを抑えていたので、車種によっては「カスタムで強発光させる」余地がありましたが……
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そういう技はもうできないんだ。
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できないかどうかはまだ回路を見ていないので分かりませんが、そもそも、やる必要がなくなったというか……
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純正デイライトは触る必要性がないところまで来た。
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そういうことです。
球屋デモカーはZ・レザーパッケージ
✔ 2016年に定められたデイライト専用の法規上は、最大1440カンデラまでの明るさが認められている。
✔ それ以前にはデイライトのルールがなく「その他灯火類扱いで、300カンデラ以下」のルールが適応されていた。そこを考えると、法的には大幅な光量アップが可能になったが、少なくとも国内仕様では「純正ではあまり明るいデイライトは採用されてこなかった」経緯がある。
新型ハリアーのシーケンシャルウインカー加工は可能なのか!?
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しかし、トヨタ車のヘッドライトの方向性がどうであれ、シーケンシャルウインカーについてはやりたいという人もいると思うんですけど?
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そうですね。ちなみにデイライトの2本ラインが、ウインカー点灯時は2本とも光ります。
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ライン状に光るウインカー、という意味では、シーケンシャル化しても似合いそうですけど?
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それはそうなんですけど。
……う~ん。 -
何か問題でも?
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ヘッドライトを殻割りしてみないと分かりませんが、C-HR後期と同じような構造と思われるので……だとすると難しそうな気はしています。
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シーケンシャルウインカー加工はできないかも!?
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可能性は高いです。なぜかというとこのラインは、デイライトと兼用になっているので、シーケンシャル点灯させるためのLEDを仕込むスペースがないんですよ。
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そういえば、C-HR後期も断念していましたね。
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白発光(デイライト発光)も残そうとすれば、純正の導光板は外せない。となると、その後ろに増設したLEDで、満足のいく明るさのシーケンシャルウインカーを作ることは難しいのです。
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かといってこのデイライトを犠牲にするのは、ちょっとあり得ないですね。
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ですよね。……実際のところはこれからヘッドライトを分解して検証していきます。
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……このヘッドライトで、他に加工できそうな余地はあるのかな?
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インナーがないのは最近のヘッドライトの流れで、後付けっていうのは無理ありますよね。
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確かに。
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サイドマーカーを光らせる、ぐらいしかできないかなと。
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それからロービーム点灯時は、外側の1眼しか光らないので……
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ハイビーム側のプロジェクターに間接照明を仕込んで、ロービーム時でも四灯で光らせるとか。
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ロービーム四灯化(風)の技。
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そのくらいしかできないでしょうね。つまり、ヘッドライトに関しては、どんどんやることがなくなってきました。
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加工屋としては複雑なところでしょうか。
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いやいや、こういう流れはもう数年前から分かっていたことですから。
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それもそうでしたね。
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新型ハリアーを見ていると、いよいよ、ヘッドライトを開けない日も近いのかな、という気がします。
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なんかウソくさいセリフですけど。
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ただ、構造的に興味はあるので、けっきょく開けますけどね。
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ホラね。言ってるそばから……。
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ちなみにヘッドライト殻割りの難易度という意味では、新型の80ハリアーってカンタンに開けられそうです。
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ほえ。
なんで? -
60ハリアーは熱分解できないヘッドライトで、超音波カッターで切って開ける必要があったでしょう?
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けれども、新型の80ハリアーは普通に熱分解できるんですよ。
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ホー。
ではさっそく開けに行きますか? -
その前に、テールチェックもしておきましょう。新型80ハリアーではむしろリアに、気になる問題がありますからね。
DIY Laboアドバイザー:森田広樹
LED加工専門店・球屋代表。最先端かつデザイン性の高いライト加工技の探求者にして、アクリルづかいの若き老練者。純正風で分かりにくいまでにさり気ない、内装LEDイルミも精力的に提案。派手さより「完成度と質感」を重視する。
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