ショックの底付きとは？ 車高調でも起こる原因と対策

ショックの底付きとは、具体的にはどんな状態なのか。似たような現象にバンプタッチがあるが、底付きとの違いは何か。そこを理解すると、車高調に換えてもショックの底付きが起こる原因・および対策もわかる。

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  今日は足回りの用語の「底付き」について復習します。……まず、底付きとはナニか？

  ●レポーター：イルミちゃん

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  ようするに、足回りのストロークが底付いてしまった、という意味ですね。

  ●アドバイザー：J-LINE 氏家研究員

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  フムフム。

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  よく言う「ショックの底付き」だとすれば、ショックが縮みきってしまった状態を指します。

ショック（※ショックアブソーバー）


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  ただ実際には、ショックが底付きする前に、バンプタッチさせて動きを止める構造になっている車が多いです。

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  そういえば、バンプタッチっていう足回り用語もありますね。

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  バンプタッチとは、緩衝材であるバンプラバーがつぶれる状態です。

バンプラバー


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  このバンプラバーは、車種によってショックの中に入っていたり、バネの中に入っていたりと構造はいろいろですが……


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  目的は「ショックが底付きする前に、バンプタッチさせて止める」ということなんです。


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  アレ？ ……それなら、ショックは底付きなんてしないのでは？

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  厳密に言うと、そういう構造である場合がほとんどです。「ショックが底付きしている」と思っている人も、実際に起こっているのは、バンプタッチであったり。

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  フムフム。

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  もしも本当にショックが底付きしたら「ゴンゴン」とか「ガンガン」と、スゴイ異音がしますよ。鉄×鉄の接触なので。

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  バンプタッチは、それを防いでいるんだ。

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  ただ、足回りのストロークが行くところまで行ってしまっている……という意味では、バンプタッチも底付きの一種と言えます。

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  ……そういうことか。

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  例えば車高調でも、ショックのダストカバーの中にバンプラバーが隠れています。



手でカバーを引き下げると、ショックのカバーの中にバンプラバーがあるのが分かる。

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  これ（↑）によってショックが底付きするのを防いでいますから、厳密に言えばショックの底付きは起こらない。

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  バンプラバーが働いている。

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  でも、ショックが縮んでいってバンプタッチしている時点で、その車高調にとってはそれが底付きといえます。

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  ……でも、鉄と鉄が当たるわけじゃないから、ガンガンは鳴らない。

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  そうですね。バンプラバーがあるから、ボンボンとかドンドンっていう感触ですね。でも、突き上げ感で乗り心地が悪い状態なのは、どっちも同じです。

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  ショックの底付きにしろバンプタッチにしろ、ナゼ起こるのでしょうか？ 原因は？

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  原因は、カンタンに言ってしまえば、足回りのストローク量には限界があるからです。

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  縮みきれば、底付きする。

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  例えば、純正ショックのまま車高を下げると、底付きしやすいですね。だからダウンサスは、極端なダウン量には設定できないのです。

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  それはなぜ？

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  純正ショックが長めに作られているからですよ。


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  ん？ 長いほうが底付きしにくい気がするんですけど？

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  いや、でもバネを交換して車高を落とせば、純正ショックは縮んだ状態になりますよね。

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  フムフム。

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  縮み側のストロークの残量が、減っている状態になるんですね。

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  あー。

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  だから走行中に縮んだときに、底付きしやすい。

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  最初から縮んでいたら……そうなりますね。

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  そう。いくらショックが長くても、伸びる方向のストロークはほとんど使われない状態になっていたら意味がない。

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  そういうことか。

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  理想的には、車高を落とすのであれば、落とした状態に合わせて、伸び側にも縮み側にもバランスよくストロークできるように設計された、短いショックがほしいのです。

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  ナルホド。ならば、ショックも交換する車高調なら、底付きはしにくいのでしょうか？


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  ショートストロークのショックならそう言えますが、しかし、車高調メーカー側にとっても、ショックの長さを短くするというのは冒険なので、あまりやりません。

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  なぜですか？

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  車高調を付ける人みんなが、車高を低くするわけではないからですよ。

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  あー。

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  少ししか落とさない人のことも考えたら、あまり短いショックにはできない。

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  ナルホド。

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  だから、基本的には純正ショックとあまり変わらない、無難な設計になっている車高調が多いのです。

例えば30アルファード・ヴェルファイアは、車高を低くすると、リアのショックが底付きしやすい車種です




30アルファードのリアショック。

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  車高調に換えていても？

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  そうですね。もともとアルファードの純正ショックは比較的短めに設計されていることもあり、それ以上極端に短く設計するのはリスクがあってやりにくいのです。

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  ショックを短くするほどストローク量が減るから、万人向けではなくなる。

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  そうです。メーカー側からしてみれば、うかつにショックを短く作って、車高を上げられない車高調にしてしまうわけにもいかない。



✔ ローダウン目的で車高調を組む人が多いにしても、ここまでの低さ（↑）を基準にするのは、現実的ではない。そのため一般的な車高調で低車高にすると、底付きが起こったりする。

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  車高調を組むといっても、ローダウン量は人それぞれですからねぇ。

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  それで結果的に、エアサスなどを組んで落とそうとする人達にとっては、ショックが底付きして下げ止まってしまう現象が起こったりするのです。

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  ナルホド。

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  そこでショックの底付き対策として作ったパーツが、リアショックの上部位置上げブラケットですね。



✔ J-LINEのリアショックポジションアップブラケット。詳しくはJ-LINEのリアアンロックシステム参照。

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  これを付けることで、ショック上部の取り付け位置が上がるんです。


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  ということはどうなるんだ？

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  底付きしている状態から、少しショックが伸びます。

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  あ〜、なるほどね。

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  それによってエアサスで落としきれるようになったり、低車高で走る人なら、走行中の底付きを減らせますよ。

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  車高調に換えても底付きするような人には、こういう対策品もあるんですね〜。