電装DIYの知識
エレクトロタップによる断線に注意!
ハンダなしで、配線分岐ができるエレクトロタップ。とても便利なコネクターだが、使い方を間違えると断線することがある。特に要注意なのが、太い配線に対して使うとき。実際の断線例を元に、切れる原因と切れてしまった場合の対策を解説。
太線へのエレクトロタップ使用は要注意
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エレクトロタップを使うときの注意点について、お話したいと思います。
●アドバイザー:イルミスタ 野本研究員
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エレクトロタップは、ワンタッチで配線分岐が可能! 便利コネクターですよね〜。
●レポーター:イルミちゃん
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そうなんですが、使い方を間違えると「断線」の原因になります。
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断線……つまり配線が切れる!?
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最近もあった例なんですが、ナビ裏からいろいろな電装ユニットの電源を取り出してある車で、エレクトロタップを外したらこんな状態でした……。
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なんだこれ!!
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この黄色い線は、社外ナビの常時電源線。メインの電源なので、太い配線が使われている部分です。
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そしてこの常時電源からエレクトロタップで電源を取っていた……。よくある話のようですけども。
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しかし、こういう太線に対して強引にエレクトロタップを使うと、内部の芯線が何本か切れてしまったりするんですよ。
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ナビの常時電源の銅線が、かろうじて2本だけつながっている状態ですね。
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あわわ。
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ちなみに赤いACC電源線も、似たような状態でした。
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これって、ナビの動作がおかしくなったりとか……、
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いや、ナビ自体は正常に動いてました。だからオーナーは何も気づかない。たまたま僕がナビを外して裏を見たから、気づいたのです。
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ああ、ギリギリつながっていて良かった。
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いやいや、ナビが動いていれば大丈夫……という話ではないんです。これはすでに危ない状態なので。
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と言うと?
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残った銅線に負担がかかるし、熱を持つので、脅すわけじゃないけど消費電力の大きい電装品の配線なら、発火の危険性だってあります。
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ひえええ。
拡大して見ると…
太線が断線した原因とは?
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そういえば、以前に「エレクトロタップ(配線コネクター)の正しい使い方」を教わったときにも、そんな話があったなー。
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定番のエーモンの配線コネクターを例にすると、本当はちゃんと「太線用のエレクトロタップ」が用意されているんですよね。青いやつ。
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本来はこういうモノ(↑)を使うべき場面だったのですが……、
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エレクトロタップで電装品の電源を取る、というときに、そこまで深く考えていない人も多いのが現実です。
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そして、もしも細線用エレクトロタップを太線にかませると、こんな感じ(↓)になる。
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このまま無理矢理閉じると……、
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太線に対して深く食い込み過ぎるので、冒頭のような断線状態が起こるわけですね。
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とりあえず、フタが閉まれば大丈夫かな?
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……という話ではぜんぜん無いので、注意しましょう。
1.25〜2スケアまで対応するエーモンの青コネクター
切れた銅線はつなぎ直しておこう
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銅線がちぎれている状態を見つけたら、ハンダでしっかりつなぎ直しておきましょう。
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そして、この上から、絶縁テープを巻いておきます。
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ハンダを持っていない人は?
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まあ、すでに切れかかっているのですから、いったん配線を切ってしまって、改めて新たに銅線を出して、しっかり接続し直しましょう。
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身に覚えがあるなぁ〜という人は、エレクトロタップを無理にかませていないか、再確認しておくことをオススメします。
ハンダによる断線部分の補修
ハンダを使わない配線のつなぎ方は、「LEDテープライトの配線を延長する方法」などを参照。
常時電源の線は太線も多いので注意
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今回の断線の例もそうなのですが、メインの常時電源線などは純正配線でも太線が使われているケースが多いです。
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こういう配線に対して、無理にエレクトロタップで取りに行くと、断線が恐いんですね。
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そうなんです。同じ配線でも、イルミ電源線とかは細いですよね。
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電源の種類によって、太さもいろいろなんですね〜。
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相手が太線であれば断線に注意、細線であれば接触不良に注意、ということが言えます。
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手持ちのエレクトロタップでは無理のある太線から電源を取りたいとしたら?
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本当はハンダで直結するのが一番確実。僕も普段の仕事ではそうしています。
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あとは、0.75スケアあたりの、よくあるちょっと太めの配線なら、スプライス端子を使っても電源取り出し(配線の分岐)はできます。
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というわけで、いろいろな配線分岐方法を身につけておくと、どんな状況でも対応できるようになりますよ〜。
キーシリンダー根元の常時電源線の例。
銅線を巻き付けて合流させ、ハンダ付けして、絶縁する。
具体的なやり方は「スプライス端子を使った電源取り出し方法」参照。
配線分岐にエレクトロタップを使うときは「選び方」に注意! これを間違うと「接触不良」が起こる。DIYラボ〈動画部〉がYouTubeでも解説しているので、ぜひ見てね。
DIY Laboアドバイザー:野本貴之
光ドレスアップの専門店・イルミスタ店長。LED加工や打ち替え、アンダーLEDを得意とする特殊なプロショップ。仕事ぶりは極めて職人気質で丁寧。部品のみの販売も行っている。●イルミスタ 住所:埼玉県三郷市上彦名540-3 営業時間12:00〜21:00 月曜定休(祝日の場合翌日)
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