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インタビュー


乗ったら車が話しかけてくる。そんな未来は、もう近い②

Beat-Sonicの堀内さん

スマホなどのデバイスから、女子高生AI・りんなちゃんの話題まで。デジタル系全般に明るい、ビートソニック・堀内研究員のインタビューの続き。これからのカーライフを便利にするに違いない、Googleの「Android Auto(アンドロイドオート)」、Appleの「CarPlay(カープレイ)」などが、グッと身近に感じられる話。


 いつかは自動運転が普通になり、車載AIが話かけてもくるだろう。けれど「近未来のカーライフ」とか、やはり今の自分に関係ある気がしない。
…… ( ̄△ ̄)。
まだまだそう考える人が多数派と思われるが、ビートソニックの堀内サンの見立ては違っている。

Beat-Sonicの堀内さん

ビートソニック
堀内雄一氏。


※DIYLabo内では「堀内研究員」(↓)

堀内

DIY Laboアドバイザー:堀内雄一
カーエレクトロニクスの雄、ビートソニック 中でもスマホと車をつなぐカーエンターテイメント事業の立役者が堀内氏。先見の明がありすぎて(?)社内では宇宙人と呼ばれるほど!? ●ビートソニック TEL 0561-73-9000 

車も冷蔵庫も、webとつながる時代へ

「近未来のカーライフ」は、自分(いち個人)と関係がある?

 確実にあります(笑)。車に限らず、世の中のすべてのものがwebと接続される流れがある……という話は前回もしましたが、冷蔵庫でも何でもですので。

 そうなると、これはもうインフラなのです。道路・水道などと同じ領域に、通信がなっている。そのサービスを享受できないと、うまく生きていけない社会といいますか。

確かに冷蔵庫がないと、うまく生きていけそうにありません。スマホも、もうその領域ですね。

 日本においては、携帯電話がスマホに一気に切り替わったのが3年前です。auが最後まで、全スマホ化には反対していましたが、そこもスマホに舵を切って、いよいよ。そういうのがどんなに苦手な人でも、『コレどうしたらいいの?』と言いつつ、スマホを手にしたわけですね。


「自分情報満載」のスマホ。車とつなぐとどうなるか

 ここで話を車に戻しまして、キーワードになるのは、これも前回もお話したプッシュ(※)ですね。

※プッシュとは、オススメ・お知らせを意味する。LINEを受信した時の『ピロン♫』音、Google(グーグル)の大雨洪水警報などもそれである。

スマホが今までのツールと決定的に違うのは、プッシュがあることです

堀内

 今からほんの少し未来には、より個人に寄り添った〈プッシュ〉が登場するでしょう。大雨洪水警報などは、その地域全部のスマホに一斉送信されますが、個人あてにプッシュ(オススメ・お知らせ)がくるようになります。GoogleもAppleも、プッシュをどんどん推進してきていますよ。

GoogleやAppleから、自分いち個人あてに……?? 一体どのような「お知らせ」がくるのでしょうか。

 それはもう、いろいろですね。スマホには多くの個人情報が入っていますので、それを解析して「オススメ・お知らせを届ける」。イコール〈プッシュ〉がくるんですね。

スマホが情報源とは……それはズルイレベルですね。自分情報が満載です。

 これはGoogleの車載OSである「AndroidAuto(アンドロイドオート)」がやろうとしていることなんですが、Gmail(※)に届いた内容を読み取って、その中のリマインドするべき、忘れてはいけない予定を〈プッシュ〉してくるんです。

(※)Gmail(ジーメール)とは、Googleが提供しているフリーメールサービス。

なるほど。GoogleにはGmailの内容がまるわかりですから、ある意味、自分よりも自分の予定に詳しい。

 ですよね。例えば「今日の夕方、仕上がったクリーニングを取りに行く」とか。

 ところがその人は、その予定をすっかり忘れた行動を取っているとします。でも、もしもその時間にドライブしていたら、ナビ画面にプッシュが来ます。

「忘れているようだけど、もうすぐクリーニング屋のそばを通るから、ついでに取りに行けば?」みたいに(笑)。

う〜ん。便利!……でもコレは、車載OS装備の〈コネクテッドカー〉(※)での話ですよね。コネクティッドカーの登場は、ぼちぼちテクノロジー系のニュースで見かけますが、一般的に誰もが乗れるようになるのは、まだかなり先のような。

(※)〈コネクテッドカー〉とは、次世代の新型車。インターネットと常時接続されている。

 基本、将来の新車に実装されていく技術です。確かに、世の中を走っている車のすべてに実装するのには時間がかかるでしょう。

しかしスマホを車につないでミラーリングすれば、スマホに届いた〈プッシュ〉情報は見られますよ!

堀内

おぉ。そういうことになるんですね。それは朗報!

 車載OSが実装されていない車に対して、どのようにしていけるか。一つの答えがミラーリングなんですが、これは非常にビートソニックらしい仕事だと思っています。

 ビートソニックは、元々は車のオーディオ交換から始まった会社でした。古くなった純正のマルチビジョンを、どうしたら最新のナビにできるか。中古車に対しての、サルベージ(引き上げ)的というか。車のアップグレード・アップデートを、ハードウェア会社として考えてきましたので。それが、僕らの使命なんですね。


スマホの映像や音を出力できるのが、現在の「ミラーリング」。そして今後は〈プッシュ〉の役割りが大きくなりそう。いずれにしても、ミラーリング方法は今から押さえておくと良さそうだ(↓)。

ミラーリング方法│まとめ

✔ iPhoneミラーリング╱無線のやり方は、「iPhoneの画面を車のナビに映す無線ミラーリング方法」参照。
✔ iPhoneミラーリング╱有線のやり方は、「iPhoneの画面を車のナビに映す有線ミラーリング方法」参照。
✔ Androidミラーリングのやり方は、「スマホ・タブレットの画面を車のナビに映すミラーリング方法」参照。

車とAIのマッチングは、かなりの好相性になる

〈プッシュ〉の話を、さらにもう一段掘り下げたいと思います。

 世界規模でプッシュに最も力を入れているのは、みなさんご存じのGoogleとApple。Googleが「AndroidAuto」、Appleが「CarPlay」ですね。

 先ほどのGoogleの例ですが、Gmailを読み込んで、ユーザーにとって必要な項目を抜き出し、それに対してプッシュを行う。便利ではありますが、これは機械的にできることです。

 けれども人は、もっと情緒的なものです。だから〈プッシュ〉も、それに沿うように……というのが求められてきます。まるで人間がしているかのように、勧めたり提案したり。

それは、すなわち……、

AIです。
人工知能が、いよいよ必要になってくるわけですね。これについては、マイクロソフトが先行しているように思います。

 代表的なのが、女子高生AI・りんなちゃん(日本マイクロソフトが開発)。大人気で、すごいユーザー数を獲得している。その理由は、ズバリ情緒的な面ですね。人間のように、話し相手になってくれる。現実は単なるプログラムなのに、くすぐるというか、からかってきたりもするんですね。

りんな公式サイトトップページ

りんな公式サイトトップページ

 車の運転中というのは、一人のことも多いのではないでしょうか。しかし、助手席に誰かいて、ナビをしてくれたらラクだったりしますよね。そこで考えられるのが、人間のようなAIによるナビなのです。

車とAIのマッチングですね。

 車とAIの相性は、とてもいいと思います。まず「車に乗って運転している」という、限定された状況がある。その前提の上なので、ドライバーが必要なことを〈プッシュ〉しやすいでしょう。

気分はどう?
イライラしているかも。……では、心地よい音楽を流してあげよう。

暑そう。眠そう。
……では、エアコンの風向きを変えて、風を送ってあげよう。

電話中。
……会話に気を取られて、注意力が散漫になっている。危ないから、減速するように注意喚起しよう。

2時間連続で運転。
……そろそろコーヒーブレイクはどう? 次のサービスエリアにスタバがあるよ。ちなみに、そのスタバはキャンペーン中で、おやつも出るよ……だから、立ち寄りなよ。

……以上、堀内研究員の妄想力w。わかりやすいです。

 しかし、果たして本当に、ドライバーが求めていることに答えられるのか。かなり難しいはずですが、個人的に性格を理解して、情緒的なところまでくみ取って、反応しての〈プッシュ〉。これはAIが入らないと無理な領域です。今のAIは、まだそこまでは至っていませんが、さらに進化すれば、本物のコンシェルジュのようになるのではないでしょうか。

 一方で、AIには人間を超える強みもあって、それはその人の行動を全部覚えていることなんですね。

AIは忘れない。するとデータが積み重ねられますね。

そして今、スマホを、みなさんず〜っと持っていますよね!

堀内

そうですね。最近はPCは、仕事でしか使わない人も増えました。動画・写真・音楽など、個人の趣味的なことは、スマホで一元管理する人も多いです。

 つまりスマホは全部を知り尽くしている。親兄弟、恋人や妻よりも、自分のことを知っている存在とも言えます。コワイほどですが(苦笑)、それだけに、個人に沿ったサービスが可能です。

 いつも持っているスマホ。それをミラーリングで車と組み合わせてこそ、最適なプッシュにつながります。スマホの最終的な目的は、電話ではなく、そこにあったと思うんですね。……今や、電話の方がオマケというか。

だいぶ話が未来に向かって走りましたが……考えてみると「近未来」って、ザックリな言い方ですよね。どれくらい先のことなのかがわからない。でも、堀内研究員が語る近未来は、すぐそこまで来ているイメージのようですが?

 確実にもうすぐです(笑)。来年のCES(※)には、より現実味のあるAIが出てくる気がしているんです。ものすごい速度で、AIが成長しているので。

※CESとは、世界最大規模&最先端のテクノロジー家電のイベント。Consumer Electronics Show(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)の略。毎年1月に、アメリカのネバダ州ラスベガスで開催される。

CES 公式日本語サイト

CES・2016に出展した、ビートソニックのブース

CES・2016のビートソニックブース
ビートソニックのスタッフ
Beat-Sonicの堀内さん

同じくCES・2016のアウディブース。最先端のカーエレクトロニクスまみれとなり、ハイテンションな堀内研究員。

CES・2016の会場風景

CES・2016の会場風景

車好きが注目する国際イベントといえば、東京・フランクフルト・北米などで開催されるモーターショー。しかし今後はCESも、チェックすると面白そう。車と電気は、ますますもって切り離せない関係にあるのは明白だ。さらに次のCES・2017が、本格AI元年のきっかけになるかもしれない。

 今までは、人間側がスマホのボタンを押しての「プッシュ」でしたが、今後はスマホ側から「プッシュ」される時代が来ます。話しかけると、なにか答えてきたり、やってくれたり。……まあ、AppleのSiri(シリ)の例からして、余計なお世話のことも多々ありそうですが(笑)。

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