缶スプレー塗装を学ぶ②
FRPパーツの塗装方法を、下地処理からプロに教わる
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FRPのパーツを、缶スプレーで塗装する方法。まずはバリ取り・足付けに始まる下地処理から、プロの板金屋に取材してガイドする。一般的な社外品のFRPエアロパーツは「ゲルコート仕上げ」で、未塗装の状態なので、実践するモデルパーツも同条件からスタート。
エアロパーツでも、小さなフィンでも、FRPパーツの塗装には下地処理が必要
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「缶スプレー塗装に必要なもの。プロと同じ作業を身近なアイテムで」の続き。
●レポーター:イルミちゃん
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それでは、実際に車用のFRPパーツ(スポイラー)をモデルに、下地作りや塗装の方法を解説していきましょう。
●アドバイザー:ほんだ塗装 本多研究員
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今回モデルに使うFRPパーツはどうしますか? 缶スプレー塗装の企画ですから、あまり大きいバンパーでは、無理がありますよね?
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ほんだ塗装のエアロブランド「SPEC!」の「Rフィン」を例にしましょう。この位の小物パーツなら、缶スプレー塗装でも現実味があるかなと。
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おや?
どこかで見たことあるようなスポイラーですね。 -
実はコレ、以前に発砲ウレタン講習をやったときに作ったスポイラーを、汎用品として製品化したものです。
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そういうことか〜。そういえばほんだ塗装は、エアロパーツメーカー〈スペック〉でもあるんでした。
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製品版「Rフィン」はFRP製でゲルコート仕上げの状態。一般的な社外品のFRPエアロパーツと同じなので、塗装するにあたっては、エアロパーツと同じ工程が必要。
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それは、どういうことかというと……
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塗装する前に、下地処理が必要です。FRPパーツは、そのままでは塗れませんので。
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つまり今回の勉強は、エアロパーツを塗装するときの参考にもなりますね。
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ハイ。やることはまったく同じです。大きいか小さいか、だけの違いです。
✔ 既製品のフィンやスポイラーではなく、造形から完全に製作したいという強者は、「発泡ウレタン講習スタート╱DIYにもおすすめの造形術をプロに学ぶ」参照。
FRPパーツにはバリがある
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下地処理は、まずは何をするんでしょうか?
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まずはFRPのバリを取り、その次に表面に傷を付ける足付けをします。
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バリってどこにあるの?
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FRPを貼り合わせている部分ですね。繋ぎ目のところで、バリが発生する。
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では、カドの部分とか?
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う~ん、単純にカドの部分とは限らない。例えば今回のFRPパーツでいうと、上面は1枚モノのFRPを貼っているので、これらのカドにはバリはないですね。
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しかし、後端や底の面は、別のFRPを貼っていますから、このラインは貼り合わせている部分となります。
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こういうライン上には、必ずバリが発生してきます。
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ホー。
そうやって見定めるのか。 -
この話はエアロパーツも同じですね。FRPを貼り合わせている部分にはバリがあります。
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ラインが複雑だと、バリも増えそう。
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そしてFRPパーツは、そのバリを削ることで、巣穴が出てきたりするんです。巣穴は、ようするに内部にあった気泡ですね。
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う~ん、だったらバリを取らないでおくのはどう? そんなに目立たなくない?
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いやいや。そのまま塗ったら、繋ぎ目のゴツゴツしたバリがそのまま浮き出てしまいます。
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バリは取るしかないようです。
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巣穴はあとでパテで消すので、ひとまずバリを取るのが先決です。
この面やカドにバリは見当たらない
このラインはバリがある
FRPパーツのバリ取り方法
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それでは、バリ取りの方法を教わりましょう。
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まず、サンドペーパーで磨きます。
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今回用意したサンドペーパーセットの中には、150番・320番・600番・1000番の目が入ってますが……どれを使うの?
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FRPパーツのバリ取りには、最初は一番荒い150番のペーパーでいきます。
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あて板も使います。
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前回いっしょに買ってきましたね。
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ここでは小さいほうのあて板のサイズに合わせて、サンドペーパーを切り出して……
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なお、今回は買ってきたのは耐水ペーパーなので水研ぎしています。
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水を付けながらペーパーで磨くってことね。
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水研ぎは削りカスが水で流れるので目詰まりしにくいのがメリットですが……
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フムフム。
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削った箇所が分かりにくいのがデメリットですね。
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これは……。
削れているの? -
エアーで水分を飛ばして乾いた状態にすると、白くなっているのが分かりますよ。
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おお。
乾かせば、しっかり傷の目が見えます。 -
空研ぎだったら、削ったそばから色が変わるので見やすい。そのかわりペーパーの目が詰まりやすい。
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ペーパーの空研ぎと水研ぎは、一長一短ってことですね。
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僕は普段の仕事では、空研ぎ専用のペーパーで、空研ぎしています。今回はDIY向けの耐水ペーパーセットを買ってきたので、水研ぎしているだけです。
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どっちが良いかは人それぞれの判断ですが、本多研究員は空研ぎ推奨のようです。
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なお、最初に150番の荒いペーパーを使うのは、あくまでもバリ取りが目的。ですから全体を磨くのではなく、バリのある箇所を狙います。
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例の、FRPの貼り合わせ箇所を狙うんですね。
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ところで、FRPのバリを取る過程で、周辺にも傷がつきますよね。
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サンドペーパーで磨いていますからね。けっこう広範囲に傷が付きますが、それが何か?
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FRPパーツはバリを取ったあとで、どうせ表面に傷を付ける「足付け」作業をするので、そこは気にしなくていいんですが……
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……だったら、バリを取りながら、面も磨いて、足付けも同時に進めればいいのでは?
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そのやり方は、ダメなんですよ。「バリ取り」と「足付け」は分けて考えてください。
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なんでそうなる??? どうせ全部ペーパーでシャカシャカやるのは同じでしょ?
まずは150番
チョキン
巻き付ける
クルリン
バリを削る
バリがとれてなめらかになった
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ワンオフ加工と塗装のスペシャリスト。エアロパーツ取り付けも仕上がりにとことんこだわるタイプ。超がつくキレイ好きでもあり、安心して車を預けられる。●ほんだ塗装 TEL:0564-58-5808 住所:愛知県岡崎市坂左右町堤上101-3 営業時間10:00~21:00 水曜定休 メールはこちら
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