20インチタイヤ比較テスト。低車高でも当たらないサイズは？

20インチホイールを履きたい。でも車高は低く！と希望する人は、もう一つ欲張るべき。すなわち「20インチで車高を落としても、干渉しにくい」車作り。ここでカギになるのはタイヤ。ハンドルの切れ角を実際に試しつつ、比較検証する。

20インチホイールでも低車高にはできる

「大きいホイールを履きたいけれど、車高はきっちり落としたい」という人が多いと思いますが……

●レポーター：イルミちゃん
ただし、ハンドルが全開切りできないとか、走行中にザッザッと擦る車はやはり不便。あくまでも「干渉しない」車作りをすることを薦めます。

●アドバイザー：J-LINE 氏家研究員
そこで今日は、「20インチホイールで車高を落としても干渉しにくい車作り」について研究したいと思います。
そこは、タイヤ選びで決まる要素が大きいです。20インチは特にタイヤで差が出ます。
足まわりだけの話ではないんですね。
車高調を組めば車高は落とせますが、ハンドルが切れる╱切れないは、タイヤで決まる。そう言っても過言ではありません。
ではJ-LINEの最新デモカー 30アルファードを例に、トータルでのセッティング方法を見ていきましょう。

30アルファードで20インチ履きの低車高

J-LINE車高調＋アーム類の交換で落としきった30アルファード。

フェンダーが完全にカブっていますね。車高調だけでここまで落ちるものですか？
いや、30アルファード/ヴェルファイアは車高調だけだと、ここまで落ちる前にアームロックしてしまいます。
それでは……アーム類を換えている？
ハイ。アッパーアーム、スイングアームを交換。ロアアームは、純正ロアアームの位置を下げる部品を追加です。
※「30アルファード世代からは低車高へのアプローチが変わる!?」参照。
J-LINE得意のアクスルとは違うんですね。
30アルファードからは四輪独立の足まわりになったので、そもそもアクスルが存在しないんです。
これが例えば20アルファード/ヴェルファイアだと……、
20アルファード/ヴェルファイアは車高調とリアアクスルキットを組み合わせれば、低くできますよ。

20アルファードで20インチ履きの低車高

J-LINE車高調＋リアアクスルキットでの低車高。

最終的には、車高はタイヤで決まる

車高調＋アクスル、または車高調＋アーム交換で車高を低くすることはできますが……、
この車高で、ハンドルを切れるようにするために考えないといけないのがタイヤです。
車高はタイヤで決まる、といつも氏家研究員が言っている話ですね。
今日はそれを実践的にテストしてみましょう。

各タイヤサイズのハンドル切れ角を検証

低い車高の30アルファードをモデルに、タイヤサイズを替えながらハンドルの切れ角をチェックしてみます。タイヤは全てJ-LINEご指名のルッチーニ。
例えば20インチのタイヤサイズで定番なのは245/35R20ですが……
※「20インチのタイヤサイズの選び方」参照。

半回転ほど切ったところで干渉！

このへんが当たる

ハンドル半回転ぐらいしか切れません。
実際の走行で全切りすることはそうないにしても、半回転はちょっと……。
245/35R20では、こういう仕様でハンドルを切るには外径が大きすぎるんです。
もう少し外径の小さい20インチタイヤが必要になるんですね。
そうなんです。かといって30扁平は薄すぎるからイヤだな〜という場合、同じ35扁平で細身のタイヤにすれば、外径も小さくなります。
この場合は、245/35を235/35に変えればいいということ？
ルッチーニの場合は235/35R20というサイズはないので、225/35R20を使って試してみましょう。

225/35R20ならハンドル全切りできた

おお〜！
同じ35扁平ですが、225は全切りできましたね〜。
これがタイヤの差。
同じ35扁平でもこの差が出るんです。
なるほどぉ〜。ちなみにこのデモカーが普段付けているタイヤは、コレでしたっけ？
いや、30扁平の235/30R20です。さらに一段、外径が小さくなります。

235/30R20なら余裕で全切り可能

でも225/35でハンドルは切れました。何もそれより薄い235/30を使わなくてもいいのでは？乗り心地も悪くなるし。
停車した状態でなら、どっちもハンドル全切りができた。でも235/30のほうが、タイヤを切ったときのフェンダーとのクリアランスが増えます。

225/35R20装着時のクリアランス

235/30R20装着時のクリアランス

235/30のように、ハンドルを切った状態で指1本分ぐらいのクリアランスは残せているのが理想です。
確かに同じ全切りでも225/35はギリギリなのに、235/30だと余裕がある。
平坦な道ならどっちでも切れますが、段差を越えながら駐車場に入る場面などでは、車体もロールするし、ギリギリだと当たってしまいます。
実用的な20インチ低車高には、「ハンドルを切った状態で指1本入る、フェンダーとのクリアランス」が必要ということですね。

結論。225/35R20または235/30R20が狙い目か？

20インチタイヤを選ぶ時に、最後に出てきた235/30と、225/35のどっちにするかで悩む人は多いと思います。
それはなぜですか？
225/30は薄すぎて恐いから敬遠。かといって245では太すぎる。……となると、その中間なのが上記2つのサイズだからです。
なるほど。
そういう視点か。で、どっちがいいですかね？
35扁平のほうが乗り心地は良くなる。そこを取るなら225/35R20でしょうね。
225/35でも、低車高でハンドルは切れましたしね！
ただ、30扁平の235/30に比べれば、外径が大きいぶん走行中に当たる可能性は増えます。
そういう意味では、235/30のほうがマージンあり。迷いますね、コレは。
あとは好みの問題。いずれにしてもこのあたりのサイズが、20インチで車高を落とすときの狙い目になると思いますよ。

DIY Laboアドバイザー：氏家淳哉
リアアクスルキットで有名なJ-LINE（Jライン）。足まわり加工に長けたプロショップでもあるので、直接クルマを持ち込めば様々なワンオフ加工も依頼できる。深い知識・高い溶接技術は比類ない。●J-LINE TEL 022-367-7534 住所：宮城県多賀城市町前1-1-13

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