板金塗装をもっと身近に

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古い車のボディカラーを調色（色合わせ）するときのマメ知識

車の純正ボディカラーには「カラー番号」と、その色を作るための「調色データ」が存在する。そして塗料も調色データも、車と同様にモデルチェンジがあるという。ここで疑問。塗料がモデルチェンジしたら、古い車のボディカラーは再現できなくなったりしないのか？

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  「サフェーサーを磨くときにペーパー目、線傷を付けないためのコツ」の続き。

  ●レポーター：イルミちゃん

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  ここからは、塗装前の色合わせ（調色）についての解説をします。

  ●アドバイザー：ほんだ塗装 本多研究員

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  今回は「屋根の再塗装をする」実例からの流れですけど、色合わせの重要性は、全てのパーツ塗装に関係がありますからね。

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  まず、基礎知識的なところから入ると、車の塗装にはカラー番号があります。

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  カラー番号？

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  ようは「その車のその色を示す番号」があるんですよ。

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  色の名称とは別に、番号もあるんだ。

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  そういうことです。
  識別番号みたいなもの。

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  でも、自分の車のボディカラーは分かっていても、カラー番号なんて普通は知らないですよね？

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  コーションプレートを見ると確認できます。

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  なにそれ？

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  車体番号などが書いてあるプレートのことです。カラー番号も確認できます。

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  このプレートを見ると、車のボディカラーの番号が書いてあるのね。



エンジンルーム内にあるコーションプレート

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  今回のモデル車の場合は「V07」というのがカラー番号になります。

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  なるほど、なるほど。

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  カラー番号が分かったら、カラーチャートで確認するわけですが……うーむ。

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  おや？
  どうかしましたか？

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  ……カラーチャートで確認しても、同じカラー番号は確認できなかったりもします。

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  どういうこと？

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  今見たカラーチャートが2021年のものなので「2021年の車」にはもうその色は使われていなかった、ということになります。

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  車のカラーチャートって、歴代の車のボディカラーがすべて掲載されているわけではないんだ。

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  そうなんですよ。それだと図鑑みたいになってしまうだろうし……。

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  しかし、そんなこと言ったら、古い車の調色レシピがどんどん失われていくことになりませんか？

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  そこは問題ありません。まず、僕の場合はこうして、古いカラーチャートも保管してあるし。



ほんだ塗装のカラーチャートコレクション

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  おお……！
  さすがだ。

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  2019年のカラーチャートまで戻ると、V07がありますね。


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  あ、ホントだ。この年代までは存在していたボディカラーなんですね〜。VO7…「ミスティックバイオレットパール」ね。


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  そうすると「V07」が、当時どういう調色データで作られていたかが分かります。


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  いや～、本多研究員のマニアックなコレションのおかげで助かったよ～。

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  本当はもっとたくさんあったんだけど、10年以上前のはさすがに捨てましたが。去年の大掃除のときに。

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  え？ なんで捨てるのよッ！ 旧車の人から再塗装やパーツの塗装を頼まれることだってあるのに！

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  いや。あまりに古いカラーチャートを持っていたところで、入手できる塗料も代わるので意味がなくなってくるんです。

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  そうなの…？

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  車だけでなく、塗料だってモデルチェンジしますからね。



ほんだ塗装で使っているのは関西ペイントの塗料。

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  言われてみればそうだけど……そうなると、新しい塗料では、古い車の塗装はできなくなってしまうのでは？

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  塗料がモデルチェンジしてしまったら、旧モデルの塗料で実現していたボディカラーはどうなるのでしょうか？

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  そこは大丈夫です。塗料メーカーに確認すれば、最新の調色データをもらえますから。

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  現行世代の車でなくても？

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  もちろんです。この調色データというのも、常に変わっていくものなんです。

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  レシピが変わったら、色も変わってしまうんじゃないの？

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  いや。そうではなく塗料メーカーの調色データも常に改良されて、純正色に近づける努力をしているので。

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  そういうことか。

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  そのため極端に言えば、ある一色のボディカラーを作るときのレシピが、何種類もあったりするわけです。

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  世代の違うレシピが混在しているわけか。

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  そうなんです。でも塗料メーカーに確認すれば、一番新しい調色データをもらうことはできます。

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  あ、そうなんだ。

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  そうやって最新データをもらうと、以前のカラーチャートとは微妙に配合の違うレシピが分かるのです。



今回はV07というカラーの最新調色データを送ってもらった。

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  だったら、古いカラーチャートを保管しておいても意味ないような？？？

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  …と思うでしょ。

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  だって毎回毎回、最新の調色データを参考にしたほうがいいじゃないか。

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  理屈としてはそうなんだけど……ただ、最新の調色データで塗ったほうが色が近いか、当時のデータでやったほうが近いかは、やってみないと分からない面もある。

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  これは……。
  職人っぽいゾーンの話だ。

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  例えば複数パターンを試し吹きして、その中から一番近いのをベースに選べば、調色作業の調整が少しで済む……というような具合です。

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  実車に近い調色データを探したりするんだ。

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  今回の例だと屋根の再塗装だから、手元に実車がある。どのみち調色はするわけですが、それにしたってスタート地点が近いに越したことはないですから。

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  宅配便で送られてくる、持ち込みパーツの塗装とは状況が違いますね。

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  はい。現車で色合わせするのが前提なので、ここでいう調色データというのは、あくまでも「調色する前のベースになる色」に過ぎません。

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  調色データは、あくまでも調色作業のスタート地点か。

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  ちなみに今回のカラー番号「V07」は、手持ちのカラーチャートで見る限りは2011年の調色データです。


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  カラーチャートには、その調色データが作られた年代まで書いてあるんだ。

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  2011年だと、もう10年以上前の調色データということになるので、さすがにこのデータは使いません。今回は一番新しい調色データをベースにします。

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  なるほど、そういう判断方法もあるわけね。

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  というわけで、塗料メーカーに確認して入手した、最新の調色データをベースにしていきます。

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  ようやくスタート地点に立てた感じでしょうか。

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  ですね。色合わせはここからが本番です。